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お願い、僕をいじめて ⑥
最初から歯列を割られ、肉厚な口内をすべる。
上あごのざらざらした部分も、舌の裏の筋も「俺のものだ」と言わんばかりに舐め取られ、口の中の酸素まで奪うように唇を吸われて、息苦しさで頭がぼんやりした。
「俺、いつもギリギリだってさっき言ったでしょ。本当に大変なんだから。頼むから煽らないで」
光也の目が熱く潤んで見えるのは、頭がぼんやりしているせいだけじゃないはずだ。
「ねえ、千尋、知らないよ? 俺が自分でも知らない自分になったらどうするの?」
「どうもしないよ。みっくんがどんな僕でも好きだって言ってくれたのと同じで、僕もどんなみっくんも好きだから。それにみっくんでさえ知らないみっくんを僕だけが見られるって、最高! だからお願い……僕をいじめて」
口づけを返す。光也のものとは違い、唇を少し口に含んでちゅる、と吸うかわいらしいものだが、光也は千尋の味を堪能するかのように、吸われた唇に舌を滑らせ、ぺろりと舐めた。
美しい男の野性的な仕草は、アルファが元来征服力・支配力、そして所有欲が高い種であることを知らしめし、千尋は背筋をゾクゾクと震わせた。
「俺の、俺だけのオメガ……」
喉を甘噛みされながら、片側の太ももの裏を押されて脚を割られる。反対の手で腰をさすられ、尻に移動すれば、やんわりと丘を揉みしだかれた。
「あっ……みっくん……」
服の上からでも指の熱を感じて腰を浮かすと、スゥエットパンツと下着を脱がされ、双丘のあわいにじかに指が入り込んだ。
「いつかここに、俺のを全部挿れるから。でももうしばらく我慢して。ここ、たくさんたくさん解して、射精 すのも我慢して、俺の入る場所を作ろうね」
「うん。我慢する……だから、たくさん、いじめ……」
虐めるのは不本意だとばかりに唇を塞がれる。
下唇を吸われ、口の中をねっとりと舐められて、甘さに痺れて胸を突き出すと、Tシャツ越しに胸の先を噛まれた。
「ふぁ、ぁぁっ」
布ごとちゅう、と吸われて腰が揺れる。後孔にあてがわれた指が少し動いて、そこが濡れていることに気づいた。
「千尋のと俺のを、しっかりと混ぜて塗りつけようね。……始めるよ」
光也は病院から送られたローションを取り中身を指に垂らすと、千尋の蜜と混ぜ合わさるように後孔にすりつけ、指を進めて孔内に塗りつけた。
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