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番外編Ⅰの②

◇◇◇ 「悪い秘書ですね。有給休暇を取って転居作業をしているのに、そっちのけで淫らな行為に耽るとは」 「はっ……! 専務っ、どうしてここへ」 「あなたのことですから、こんなこともあろうかと監視をつけていたのです」  専務は氷のような冷ややかな視線を向けながら、秘書の自宅に踏み込んできた。  SPだろうか、後ろにはサングラスでスキンヘッドの男ふたりを従えている。 「……や、恥ずかしいっ」  秘書は専務に背を向けて痴態を隠そうとした。だが。 「見られるのがお好きなのではないですか?」 「ああっ」  専務により床に這いつくばる格好にさせられ、露わになっている白尻を持ち上げられた。 「ほうら、狭間のここがこんなに悦んで窄まり、いやらしい涎を垂らしていますよ」 「そんなことありません!」 「上のお口ではそう言いながらも、ここのお口はそうは言っていません。淫らなお口だ。皆の前で塞いであげましょう」 「あ、あぁんっ」  秘書の秘所に専務の指が深く挿入された──── ◇◇◇ 「これ、気持ちいいの? 千尋」 「ん、んっ、気持ち……くない。みっくんのがいい、みっくんの、欲しい……」  いつの間にか、千尋は「捨てる物箱」から電動プラグを出して孔に先端を挿入していた。  だが、やはり中に馴染んでくれず、違和感の方が強い。千尋の中を()くすることができるのは、きっともう光也だけだ。 「そう。こんなおもちゃで遊ぶなんて悪い子だけど、可愛いことを言ってくれるから許しちゃうな」  専務ってば、妄想なのに氷の貴公子の仮面が剥がれて、ちょっと春風王子みたいになっている。まるでみっくんがここにいるみたいだ。  千尋はそう思いながら目を瞬かせた。 「…………えっ?」  おかしい。千尋の孔液で濡れた電動プラグを抜いて、にっこりと微笑む専務の妄想などしていない。それに、妄想のギャラリーSPも消えている。 「ふふ。昼休みに車を出してもらって来てみれば、こんな姿の千尋に再会するなんて。でも千尋、ここはセキュリティが無いに等しいね。玄関も鍵がかかっていないものだから心配したよ?」 「え? え……? み、っくん……?」 「うん。朝ぶり」 「…………あ、あ、ああぁぁあ~~~~~~~!!!!」  ずささささ。  本物の光也が居ると知り、千尋はすごい勢いで後ずさったが、狭い部屋の中だ。すぐに壁に背中が当たった。  痴態を見られたあまりの恥ずかしさにそこでプルプルと身悶えていると、光也が寄ってくる。  トン。  軽い音だったが光也に壁ドンされて逃げ場をなくしてしまった。

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