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39 救出作戦準備《大輝視点》
翌朝
「うーんおはよ大輝…
あんま寝れなかったね?」
「ああ…実はな陽加の居場所が分かったんだ」
「本当?凄い!じゃあ今すぐ行こうよ」
「いや夜こっそり忍び込むし、
多少遠いから車借りて行くぞ。
咲哉来たら作戦を伝えるからな」
「分かった…でも咲哉は必要なの?」
「必要なんだ…アイツは華奢だが頭も力もある。必ず戦力になるし、疚しさねぇから安心しろよ、な?」チュッ
「まぁ陽加の為だし、父親は危険なら人は多い方がいいね」
朝食を食べた後光希はシロを洗ったり、昼の準備をしていた。
俺は大きめのバッグに装備を入れた。
ベストは行くときに着けていく。
咲哉にはLINEで知らせ、夕食前に来てもらって3人で食事したが全員無言で食べた。
その後俺は作戦を説明をした。
「お前ら2人は陽加の救出だ。
アイツを誘い出して俺が相手するから、
無線を渡すから家から遠ざけたら伝える。
その時家が空く隙に徹底的に陽加を探して、
陽加を車まで連れてくまでお前らの役目だ。
完了したら車の中で待ってくれ。
念のため咲哉は運転席に座ってくれ…最悪負けて追って来たら俺は置いて車を出してほしいからだ。
やる事はそれだけで危険は少なく難しくはないだろうが、入口が頑丈でなく鍵も簡単に見つかる事を祈る。これで全てだ」
「大輝…それだけって大輝はどうするのか大事なことは全て省いてるよね?
光希にちゃんと説明する約束は?」
「そうだよ大輝隠し事なんてイヤだよ!
咲哉だけ知って俺らは知らないなんて……
恋人なんだからちゃんと話してよ!
絶対嫌いにならないから」
光希はいつになく真剣だ…だがJの事まで
教えられねぇ…咲哉が知ってるのはスカウトの1人だったのとある意味抜けれない人質みたいなもんだったからだ。
ホムラは咲哉を気に入ってるしな。
結果的にオファーの時点で咲哉は断っていて極秘事項も知らないから特に何もなかった。
「荒れていた時にちょっとヤバいグループに
一時期入ってかなり悪さしてたんだ。
滝から受けた訓練を悪用してな。
でもやめたから気にするな
咲哉もこれ以上光希を不安がらせないでくれ…頼むから!」
「・・・・・」
「ダークナイトってなに大輝?」
なっ!まさか咲哉か!
「咲哉!」
「僕は何も言ってないよ!
光希誰から聞いたの?」
光希も驚いた様子だし、嘘じゃねぇ
「夜中あまり寝れなかったって言ったじゃん?で隣に大輝居なくて隣の部屋ドア開いてたし、電話をしてたの聞いたんだ。
静かだから相手のデカイ声も全部…銃が得意とか…確実に仕留めろとか…
大輝…陽加の父親を殺す気なの?
全部説明してよ!…ヒック」
光希は泣き出してしまい抱きしめて落ち着いてから夜中の会話知った以上隠すだけ無駄だな。
覚悟を決め、Jに所属していた頃行ってきた非道な殺戮から陽加の親父の経歴も含め2人に話した。装備品も見られた…
「大輝がそんな事してきてたなんて……
何でそんな組織に入ったの?」
「荒れてた当時命も惜しくなくて何となく入っちまってメンバーになった。思ったより罪悪感は当時はなかった…自分でも怖いくらいにな。そんな俺を変えたのが咲哉だった……」
「でもまたやろうとしてるんでしょ?
銃が二丁も!こんなの……
しかもスタンガンや警棒まであったなんて……
大輝やっぱり人殺しなんて駄目だよ!
確かに陽加の父親はクズだし、元CIAだとか、
立花グループ?だとかよく分からないけど
危険な相手だろうが、絶対こんなダメだよ。
もし捕まったらどうするの?俺っちは?
陽加は?シロは?」
「お前らが自由に住めるよう手配したし、お前ら用の口座と金庫にかなりの額が入ってるから18以降でも充分生活も出来るさ」
「バカ!心配は金じゃないよ…大輝が居なくなったら俺っちも陽加も耐えれないよ」
「奴は次会えば消すと言っていた…恐らく邪魔する奴は皆殺しにするさ。奴ならな…
俺以上に訓練と経験を積んでる奴なんだぜ?
前回負けて確実にレベルの差が分かった。
俺だってそりゃやりたくはねぇさ!
だが救出しても奴はまた追ってくる。
俺は決めたんだ光希…止めても俺はやる。
別れも覚悟の上だ。
そもそも俺だって生きて帰れるかもわかんねぇんだ…
とにかく成功したら後処理は上手く出来る。
だが万が一失敗しても最悪刺し違えてでも消すつもりだ。
俺はお前らと出会う前には足を洗ったが、光希も俺を見る目は変わっただろ?
俺は最低な殺戮者のクズってな」
「それは……」
「分からなくはないけど暗殺までは…
戦闘で言うなら追撃不能にするのは?」
「選択肢は陽加を諦めるか奴を消すかだ。
奴は一時気絶させて救出しても追ってくる。
俺は住所が割れちまった。
つまり俺は特定されてるから警察に突き出せんだよ。手配されたら引っ越そうが関係ねぇ。
記録はあるんだからな、まぁ追い付かれた時点で俺は始末されちまうさ光希や多分咲哉も…
奴は元CIAだ…つまり奴も殺しのプロだし
躊躇う事もない。
陽加を取り戻すためならなんでもする奴だ。
そういう異常だが腕はある相手が敵なんだよ。
だから俺の指示で協力しないなら1人で行くからな」
「大輝……分かった」
「ウチに残るか?」
「違うよ……俺っちは行く。
大輝を信じてる。それに恋人だよ?
もちろんヒットマンやってたのは驚いたし、
勿論怒ってる。
でも大輝だって事情あったんだろうし、
それにさっきの答え……
俺っちは大輝を絶対嫌いにならないよ。
何度も助けてくれたし、どんな大輝でも大好きだから!
陽加もそう言うよ絶対にね。
それに俺っちもアイツから殺気は感じたのは
確かにある。
でも最後にしてほしい絶対に…大輝約束ね。
終わったら今度こそ3人で幸せに暮らそうね?シロと」
「2人が羨ましいな……
とにかく大輝本当の本当に最後だよ?
これが終わったら銃は2度と持たないと約束しておくれ?」
咲哉お前も本当は分かってるだろ?……
救出と暗殺の成功は俺にとっては幸せな生活
なんかに戻れねぇと……
陽加もきっと俺を許せないだろう。
どんなクズでも仮にも父親を俺が殺害しましたなんてな……
「分かった…」
とりあえず夜中まで待って少し寝ておいた。
行く前に俺は装備品を装着した。
咲哉にはスタンガンを念のため渡しておいた
指定した駐車場に車が停めてあった。
ホムラの奴BMWかよ…
まあいい鍵はタイヤにあり、
車に乗り込み陽加の居場所に向かった。
任務は単純に2つ
1.陽加の救出と
2.父親の井上靖雄の抹殺……だ
奴は元CIA工作員にして
元立花グループ直轄の暗殺部の隊員。
1人なら自宅に忍び入り抹殺するのが確実だが今回は救出もあり、2人も着いてくる。
だから外におびきだして暗い中隠密で仕留めるつもりだ。簡単にはいかないだろうがな。
正人や高橋って奴らなんかとは比べもんに
なんねぇな。
プロを相手にする事は少なく奴はかなり腕がいい…長年現場をやってきた経験だろう。
にしても陽加の親父がまさか
あの立花グループの裏組織の残党だった
なんてな…
もうあの倒産事件から何年も経ったが……
当時はかなり世間が注目していた。
汚職に殺戮に裏組織との癒着。
繋がりのあった政界や司法から企業まで
逮捕者も相次いだ。
立花一族は関係者含め悲惨にも事件が明るみになった前夜に全員死亡した。
まだ学生だった息子2人も含めて………
長男は確か今の陽加や光希と同い年か…
次男は中学生…惨いな
これが最後の任務になるだろう
その後どうするかはまだ考えてない
今は陽加優先だ。
陽加1週間待たせちまった。
絶対助けるからな
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