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61 中央町警察事件簿2《安藤慶太視点》
中央町浄化作戦が行われ少年係では若者の溜まり場に一斉補導街中警らを実施し、相当数の補導と仕切るメンバー達の中に大麻を所持してたり、ある店では未成年と性行為中のメンバーを確認し、約数名逮捕された。
調べが続いていく内に俺は担当した中で井上陽加について聞いて回った。ほとんどは来てはいたが詳しくは知らないと言っていた。
だが数人の奴から共通した名前が出た。
前田大輝……
「彼もメンバーなのか?」
「元な、で今は陽加と光希も連れ込んで
セックスまでしてやがるぜ」
それが事実なら誘拐に性犯罪に該当する。
証言は皆同じ様なもので、前田大輝を捜査対象に挙がった。
担当は違う刑事が対応してるが聞く限り
経歴に一応喧嘩で補導などいくつか問題行動は起こしてるが特に目立った犯罪歴はない
調べを進める内にカメラに確証はないが井上陽加と思われる人物を確認した。メンバーに見せたらこの子だと言った。
で毎回隣にいるのが前田大輝らしい。
で遂に礼状も発行され家宅捜索を行ったが本人達はおらず防犯カメラにも写ってなかった。
任意同行を求め取り調べは何度も行ったが本人はずっと否定しているようだ。
結局証拠もなく溜まり場にいる者の証言だけでは意味がない。
彼は一先ず捜査は終わった。
「お疲れ様です、岡田警部どうですか?」
「安藤か、奴は妙に気に入らねぇな
若造の癖に調べでも顔色1つ変えやしねぇ。
何か素人には見えねんだ」
「だが証拠は出なかった。
それに井上陽加が役に立つ情報等持ってる可能性も低いでしょうな、重要なら残党に消されてるでしょうし。何より見つかるか」
「まぁな、一先ずまだまだやる事はある。
奴にも釘は刺したが、正直
前田ばかりにも構ってられんからな」
彼は歩いてる言った。
また無収穫だったか。
恐らく井上陽加が見つかる可能性は難しい。
今や溜まり場のメンバーは散っていき他県に分散した。どこに行ってもおかしくないわけだ。
仮に話聞けても何も知らない可能性の方が高い
しかし立川グループの残党はまだいるのだろうか?まぁどのみち俺には捜査権はないがな。
桜木さんならどうするか?
あの人も遠くの田舎に飛ばされた。
関わるとろくなことない。
もう潰れたんだ。どのみち本庁には戻れない
関わるのは控えよう。
そう思っていたが、
数日後、それは偶然起こった
今日は非番で街を歩いてたら少年2人が歩いてた。平日の昼間に私服で?
だがあの子達はまさか
「陽加あそこで買ってこうよ安いし」
「光希は本当おしゃれだね、
いつもやってくれてありがとね?」
「陽加も今からケアしていけば歳とっても肌が綺麗になるらしいから頑張ろ?」
全部録音したし、確信した。
陽加に光希の名前が出た。
やはり身を潜めてたか、前田大輝は関連してるのかそれとも別の人間か?
「すみませんちょっといいかな?」
逃げれない位置に入った時声をかけた
当然2人は警戒してる
「なんですか?」
「ナンパとかならお断りだよ」
「職務中じゃないから名刺で失礼するけど、
中央署の生活安全課の安藤です。
君らの会話聞こえてね、君ら失踪中の朝倉光希君と井上陽加君だよね?」
「警察?違いますよ……」
「同じ名前なんていっぱいいるじゃん?」
刑事を舐めるなよ、動揺丸出しだ。
「なら学校と身分証と親御さんの連絡先を教えてくれ」
「・・・・・」バッ!
「どうした?
逃げるのは疚しい事があるからだよな?」
やはりな、見た目は綺麗になって髪型も違い、メイクも多少してるんだろう
これじゃ通りすがっても分からないな。
とにかく2人とも逃げようとしたが捕らえた。
それに声かける前に応援呼んだ。
要は時間稼ぎしただけだ。
「離せよ!」
「公務執行妨害で逮捕されたいか?」
やっと大人しくはなったが離しはしない。
パトカーが丁度到着して署に連れてく事になった。
署内でそれぞれ話を聞くことになり、朝倉光希は家族に連絡し、迎えに来るが隣の県から来てる為少し時間は掛かるようだ。
井上陽加は願い出て担当になり話を聞いた。
「君にはいくつか聞きたい事がある」
「・・・・」
「まず失踪してた間どこに居たんだ?」
「・・・・」
黙秘か、庇おうとしてるな。
証言のあった前田大輝は自宅の監視カメラには写ってなく他の証拠も自宅からも出なかった。
他の人間なら誰だ?
「黙っても調べれば分かる事だ。
君は溜まり場に出入りしていて前田大輝って男と仲がいいと証言もあり、街の監視カメラに手を繋いで歩く姿もあった。
フードにマスクしてたが皆君だと証言してる。
スマホ記録も今鑑識で調べてる。
名義やメッセージ履歴全て出てくる。
溜まり場の奴らの中から前田大輝の自宅に連れ込んでると証言があったが?」
「違う、不特定多数に身体で稼いで生活してた。溜まり場では仲良くしてただけだ」
「朝倉光希と2人でか?
彼は両親が迎えに来るが彼のスマホも調査中だ。君は児童相談所の職員が来る。
施設行きだ、再来年の3月までだな君の場合。
ちなみに売春…援交も11歳以上は両方とも逮捕される事になるぞ、まだ施行前で良かったな」
彼は多少震えてるが我慢強いようだ
やはり誰かと居たんだな。
「・・・・・」
「次の質問だ、まず伝えよう、
実は君のお父さんが亡くなったんだが」
あまり驚いてないぞ。
まさかコイツ知ってるのか?
「虐待されてたから逃げたんだ。
別に悲しくない」
家出の理由はそれだったか
「そうか質問は立花グループって企業について何か聞いてないかだ?
君の父親は元社員で悪事を働いていたんだ」
これも薄い反応だが白黒はまだ何とも
「何も聞いてないし、知らない。
知りたくもない」
これは少し嘘交じりだな
「あまり父親の死に驚いてないな?
仕事についても……まるでとっくに知ってます
と言う反応だったぞ?」
やはりな、煽ったら動揺し始めた。
伊達に1課に居たわけじゃない。
彼は睨んできたが間違いなく何か知ってる
井上康雄の死や立花グループに居た事も
まさか陽加が父親を?いや違うな
俺は人殺しは区別が付けられる。
殺人事件を扱う1課での経験もあるが自分は1度容疑者を射殺した経験がある。
相手も拳銃で一般人に発砲しようとした為
苦肉だったが。
だから1度殺人を犯した奴は一目で分かるし、職質もかけている。
今の井上陽加の反応からは感じない。
まぁ事故と処理されてるし、実際捜査した訳じゃないから他殺とも言い切れない。
「知らないって言ってんだろ!
アイツは自分の事を何も話さなかったんだよ。死んだことも悲しくないから反応する気もないだけだ。」
これは事実のようだな。
初対面で取り調べとまではいかないから
彼の反応を今判断するのは難しい
「前田大輝と一緒に暮らしていたのか?」
「暮らしてない!客と寝泊まりしてた」
「去年から今日まで毎日か?
それは信じがたいな、どのみちスマホ調査中で消去してる物も全て復元出来る。技術もかなり上がってるからな、SNSから客と寝泊まりさせてた人間は全員逮捕されるからな?」
スマホは必ず第3者名義の筈だ。
そいつも当然逮捕となる
ガチャ
「安藤主任結果が出ました報告書です」
「ああ」
これは!名義がどちらも宗形玄弥
70の高齢者で末期ガンで余命半年でもうすぐ 入院になるとの事
金持ちで朝倉光希を含めて泊めていたのは彼だとメッセージ履歴や分析した結果だ。
他過去の客リストはあった。
全くの想定外の人物が容疑者か?
逮捕になっても余命でこれから入院では
ある意味捜査は終わりだ。
何か裏が?
「宗形玄弥この男と暮らしていたな?」
今のはどっちだ?動揺はしてる
では本当か?
「どうなるの?」
ん?
「余命があるようだ話は聞く事になるがな知ってたのか?」
「知らなかった、やめて、彼は悪くない」
ん?急に真剣になったな、
庇いたいからか?もしくは演技か?
だが見極めは難しいし、証拠を見ればこの男が犯人となる。
「未成年者略奪に性的な行為もしてるやり取りも見つかった充分犯罪者だ。
どこで会ったんだ?」
「町の外で声かけられた」
「彼の迎えも来ました。そろそろ」
腑に落ちない点もあるがまぁこの辺でいいだろう
「ああ、話は以上だ。
確かに辛かっただろうが18までは施設で頑張りなさい逃げずにいいな?」
「・・・・」
シカト可愛げねぇな。
結局立花グループの事は知らなそうなのは事実のようだし、彼にはもう用はないだろ。
前田大輝もこれで完全にシロだ。
また明日から通常業務だ。
もう警察辞めようか、
ただ今から再就職はキツイな……
なら次の休みも咲哉に会いに行こう……
井上陽加を連れ別室にいた担当者に
「お待たせ致しました。少年係の安藤です」
「担当の鈴木です」
手続きと念のため脱走しないよう暫くは監視してもらいたい旨を伝え、彼に連れられて行った。
ハア咲哉に会いたい、
毎日側において抱きたい、
魅力に狂ってきてるかもしれない
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