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95陽加の動揺と不安《大輝視点》
いつもは真っ直ぐ帰ってくるが今日は連絡もなく1時間になる。
発信機はバイト終わり頃に途絶えたが何故か今は起動してる。
自宅近くで向かってるのは分かるが、この1時間だけ何故だ?
故障かあるいは…
ガチャン
「ただいま…」
明らかに元気のない返事だ、だが顔色はそこまで悪くない
なにしてたんだ?俺が過保護なだけか?
悠里と何かあったか?東か?挙げたらきりがないな
「お帰り、今日は遅かったな?」
若干だが動揺してる。
間違いない何かあったな
「うん、今日は…その残業したから遅れちゃって連絡も出来なかったんだ、ごめんね大輝?」
嘘なのは分かる、陽加の事は大体わかるからな、ただ陽加も同じだ。
俺が悠里に確認出来ないの知って、バイト先を使ってきたな。
「バイトが終わって時計に仕込んだ発信機が1時間作動してなかった。
故障か陽加に何かあったかとも思っていたが、
だが妙な事に再起動した…お前が帰る直前にな」
「そんなの知らないよ…俺そんなのに詳しくないし、たまたまじゃない?」
嘘なのは分かるが、何か妙だ…陽加の反応がいまいちだからだ
陽加は悠里並みに分かりやすい、確かに嘘を守ろうと必死さは感じる。
だが他にもありそうだがそれが分からねぇ。やはり東か?
久しぶりに…俺は陽加を抱きしめて手は首に触れた
「陽加、東と今日会ったか?」
「会ってないよ…」
やはり奴だったか
だが1時間で帰したのはバレない為にか?
いや遅かれ気付くと分かってる筈だ…
ん?この匂いは……
しかも体中から…まさか陽加
「なぁ陽加俺に嘘は通じないと言ったろ?それに約束したじゃないか?
俺を信じるって、ここは家だ本当の事話してくれないか?」
陽加は涙目になって
「うわーん!大輝もう俺…おかしくなっちゃったの、変なの!」
「落ち着いて陽加俺がいるから、とりあえず風呂入ろう、丁度沸かしてた」
間違いないあの野郎!
浴室ですぐ裸にして服は洗濯機に入れ身体はシャワーで綺麗に流した。
念のためアナルに触れてみたら若干穴が緩かった。
全て分かった
風呂では会話しなかった。できる筈もない、今の陽加は冷静じゃないからだ
風呂の後落ち着いたようで咲哉の残してくれたオリジナルの紅茶を飲ませた。
「落ち着いたか陽加?」
「うん…ありがとう、でも気付いたよね?」
多分、いや間違いなく東に犯されたんだ…クソッ!
「ああっ…守ってやれずごめんな」
「謝らないで、アイツに脅されてどうしようも…あっ」
「脅しってなんだ?もう全て話せ、俺を信じるなら」
「分かった、バイト後にまた東翔太が現れて…」
バイト帰りから今までの経緯を聞いた
ドキドキしたりもしたと…
「そうか…」
「大輝本当にごめんんさい…もう俺嫌われたよね?」
「バカ、嫌いになんかならねぇし、奴が脅迫したからだろ?
でも脅迫ネタをなんで言わねぇんだ?」
事情は分かった、やはり早く対処すべきだった。
ただ陽加はなんで脅されたのか言えないと言ってきた。
俺は脅迫しても意味ないのは分かってるし、光希もあり得たがそれなら言った筈だ。
となるとだ
「悠里だろ?」
やっと反応した。間違いないな。当然Jのエージェントの一人なら俺が
桐原大翔だとバレてる筈だ。
しかも陽加と今は働いて親しいから余計に脅しやすいって訳だ。
とんだクソ野郎だな
「……だって巻き込めないから、ううっ…」
陽加はまた泣き出してしまった。泣き虫なのも悠里と似てるな
「大丈夫だ話してくれてありがとな、全部俺のせいだ…」
「アイツ大輝に恨みがあるって言ってた…復讐したいのかも?
でも俺に惚れたのはまた別みたいには言ってたけど…まただ…」
恨みだと?奴の親族は生きてるし、手に掛けた人間の事は覚えてる。
繋がりがある奴がいたとは思えないが…
いや考えてみれば奴は政治家の息子だし、俺が知らないだけであるのかも…もしくはJとは関係なく何か恨まれる事をしていたか。
ホムラに情報をもっと洗わせるが東は自分を調査する事はもう無理と言ってきた。はったりとも思えないしそれも確認だな。
あとは…
「そうか…それで俺を調べついでに陽加に行き着き目を付けた訳か、
やっぱり俺のせいだ、陽加すまない」
「謝らないで、俺だって人の事言えないから」
「陽加、さっき急いで風呂入れたのはお前の精神をおかしくさせた薬のせいだ断言できる」
「そう言えば東から香水みたいにいい匂いはしたんだ、犯されてる時もおかしくなりそうなくらいその…気持ちよくなっちゃって、惚れちゃいそうで怖かったの、でも今は戻った、はっきり大輝が好きといえるけどあれはなんなの?大輝は知ってるの?」
Jでも使わてるものだからな
「あれは一種の惚れ薬だ、Jの科学班が開発した異性がターゲットなんかの時に潜入任務や尋問用にも使用される。香水と同じでスプレー式で噴射し、万が一顔に直に当てられたら誰にでも欲情、愛情等の感情を上げて使用者が操ればそいつに依存しちまう。恋人を忘れさせたりもな、
つまり恋人を奪える兵器ってとこだ。
ちなみに名前はラブドール、愛する人形のように扱えるからだそうだ。
だが長期間浴びせすぎると廃人または死亡する可能性もある程の危険性がある」
奴は物や脅迫でしか陽加に向かって来ない、一番卑怯で最低な野郎だ
「そんな物で俺を…」
「だが分からねぇのは陽加に直接噴射するチャンスはあったし、
連れ去ることも出来た筈だ。なのに何故1時間で解放した?
俺に伝わるリスクは当然奴なら読める筈だ」
「多分アイツは俺を先に多少は汚いけど俺を惚れさせてからそして最後に大輝をどん底に突き落としてから理由は知らないけど復讐したいんだよ、愛でも力でも勝ったと。もちろんそんなことで怯む大輝じゃないのは知ってる。
でもさっきアイツに会って話してみてそんな気がする。
復讐と俺への執着、気持ちが復讐の利用か本気なのかは知らないけど…」
Jの現役である東翔太、こっちは辞めて情報量で今の時点負けてるだろう。
奴の弱みも必要になるがホムラに見つけられるか?
最大の問題は悠里だ…俺のせいでまた危険な目に合わせちまった…
東の話がはったりじゃなきゃ悠里に張り付いてる仲間がいる筈だ。
Jなのか、奴の家族の手下かは知らねぇが経験上奴らもプロだ、政治家の抹殺任務も経験があるから分かる。
つまり迂闊に動けねぇ
「とりあえずホムラに連絡だ。
光希も戻した方がいいかも考える。
お前もバイトを少しでいい休め」
「でも大輝それじゃ悠里さんが!」
「分かってる!その対策もこれから考える」
俺はスマホ取り出し久々にホムラに掛けた。
奴は調べると言って以来連絡が途絶えてる。
東の策略か?
何か嫌な予感がするぜ…だが命に代えても陽加達は守る
東翔太、コイツは思ったよりも強敵にかもしれねぇな…
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