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宵の空に咲く一瞬の輝きを愛しい君と 1. | 兎森うさ子の小説 - BL小説・漫画投稿サイトfujossy[フジョッシー]
目次
宵の空に咲く一瞬の輝きを愛...
1.
作者:
兎森うさ子
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1.
紫音
(
しおん
)
と恋人という関係になってから早4ヶ月ほど。 高校二年生となった
朱音
(
あかと
)
は、去年とは違う夏季休暇に一人、心を踊らせていた。 去年のような悲しいことにはならないはずだ。 しかし、朱音の淡い期待とは裏腹に、紫音は卒業してから俳優として活躍しており、じわじわと人気が出つつあった。 朱音のおかげ──と紫音は言うのだろう──、沼にそれはそれはズブズブに浸かり、俳優をやるきっかけとなった戦隊モノが大いなる理由だった。 放送される度にトレンド入りするのは当たり前で、いくら見ても悪口は言われていなく、公式で撮影裏での他の仲間と絡んでいる動画があるのだが、「そのまま!」と言われるコメントばが散見する。 というのも、それはかつて、共に観ていた戦隊で、「あんな兄が欲しい」と無邪気な小さい頃の朱音の言葉に真に受けて、再開した際に演じていたようなクールキャラのことだ。 偶然、その役を演じることになったのだが、それにしても型にハマりすぎている。 けど、それはそれでいいと朱音は思った。 だって、本当の優しくて、朱音を見た途端、破顔して、朱音の言うことを何でも聞いてあげようとする兄のような紫音のことは、自分しか知らなくていいのだから。 そう思うと、そのようなコメントを見る度ににやけてしまっている。 何はともあれ、念願だった夢を邪魔にするわけにもいかず、チャットアプリでの会話や、たまにくれる電話だけでも充分だと思わなければ。 十年以上行方知らずだった不安と焦燥よりかは全然良い状況じゃないか。うろ覚えになってしまって悔しいが、小さい頃、ワガママを聞いてくれていた紫音に、これ以上迷惑をかけたくない。 が、相反するように会いたい気持ちが膨れていく。 こんなにも自分は寂しがり屋だっただろうか。 この寂しさを紛らわせるために、今年も仕方なしに友人の大野達と遊んで誤魔化そうか。 そう思い立った朱音は、遊びに誘おうとチャットアプリを開こうとした時、画面にメッセージが届いた。 『この日、空いてる?』
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