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第1話 彼女いない歴、26年

《勇者様!! どうか私をお連れ下さい!》 《仕方ないなぁ… お姫様に頼まれては断れないよ》 「ウソつけ! スゲェ嬉しそうな顔して、クソッ…! オレも異世界転生して、ハーレム体験してぇ~… 」  コンビニで買った売れ残りの、脂っこいから揚げ弁当を、食べ終わると…  彼女いない歴26年の下越リョータは、撮り溜めていた2週間分のアニメを見ながら異世界召喚された勇者に向かって文句を言った。  勇者は気に入らないけど、3人のヒロインのうち、ユリアナ姫が好みなのだ。  半年前に会社が潰れて以来、フリーターをして食つないで来たが、そろそろ身体が限界らしく、強いストレスで肌はブツブツ… ボロボロ… 「意外とオレって繊細だったみたい…」  スウェットをめくり、リョータは腹のブツブツを憎々し気ににらんだ。  ブツブツはあっても性器にはなんら異常は無く、成人男子なら誰でも避けては通れない、性欲の呪いを解くために、下着とパンツを太ももまで下ろすと、リョータはアニメを流しながら、その音にまぎれペニスを夢中でしごく。  プチュ… プチュプチュ… プチュクッ… チュウ… プチュプチュ… 《今です勇者様、攻撃を―――っ!!》 「ああ、分かってるよユリアナ!! 今イクからぁ…」  (むな)しくリョータはテレビに話しかけながら… <うううっ! 来たっ! 来たっ! 来たぁ―――っ!>  射精の瞬間、ぼろアパートの汚い天井を見上げ、リョータはフッ… と目を閉じた。 「ううっ… んんんんっ―――!!」  うめき声を上げ、下腹がビクビクと痙攣(けいれん)至福(しふく)の解放感を味わった。  人の気配を感じ… ふと目を開くと、浅黒い肌の外国人たちが、ぐるりとリョータを囲み熱心に見つめていた…  特にリョータの股間のブツを。 「うひゃああああっ―――!!!!」  26歳にして(いま)だ童貞のオタク男… 下越リョータが熱望した異世界召喚の夢を叶えた瞬間だった。

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