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第4話
――俺がお前をいつか殺ってやる。
雨音の中、その声だけが低く落ちた。
近すぎる距離のまま、莉珠は染を見上げていた。
「んー独占欲?」
なぜか嬉しそうですらある声。
「は?死にたいのか」
「染くんに殺されるなら本望だな〜」
軽い返事。
その瞬間、遠くで枝を踏む音がした。
Reaper達が近付いてくる。
莉珠も気付いたのか、小さく音をする方へ視線を動かす。
「今日はここまでみたいだね」
ナイフをそっとしまう。
「さすがの僕もこの人数じゃ勝てなさそうだから、今日のところは諦めてあげるよ」
軽い口調だが、その目だけは妙に静かだった。
染が眉を寄せた瞬間。
ふ、と白い影が近付く。
耳元へ落ちる吐息。
「――僕以外の奴に殺られるなよ」
低い囁き、その声だけがやけに近く残った。
「……っ」
反射的に振り向くと、そこにはもう莉珠の姿はなかった。
揺れているのは、雨に濡れた木々だけ。
そして近付いてくるReaper達の声と足音。
「染さん!」
Reaper達が次々と姿を現した。
周囲を警戒するように視線が走る。
「……あれ。影祓が出たと聞いたんですが」
「ああ、すまん。逃げられた」
「ええ!?」とReaper達の声が飛び交う中、莉珠の声が耳に残ったまま。
煙草に火をつけ、火花が小さく揺れる。
吐いた煙はそのまま雨へ溶けていく。
Reaper達が、どこか張り詰めた空気のまま周囲を見渡している。
「東雲莉珠……どうでした?」
「俺より弱い」
「ハハ、さすが染さん!うちのNo.2ですもんね」
軽い笑いだが、その場にいた誰も完全には安心していない。
ここにいる誰もが、影祓のNo.2がどれほど恐ろしい者なのか理解しているからだ。
「でも怪我なくてよかったです」
小さく息を吐く仲間達。
「交戦になってたら俺らじゃ多分――」
「させねえよ」
煙草を咥えたまま、染は低く返した。
「え?かっこいい!俺より年下のくせに!」
「年下は関係ねえだろ」
軽く笑いながら近付いてきた頭を、ぱちんと片手で叩く。
「いっ……!」
「浮かれんな」
「そもそも未成年がなに煙草吸ってんだ!」
ぶつぶつ文句を言う声に、張り詰めていた緊張が少しだけ緩む。
染は煙を吐き出しながら、濡れた空を見上げた。
――僕以外の奴に殺られるなよ。
耳に残る声を、振り払うみたいに目を細める。
「あ、そうだ」
一人が思い出したように端末を開いた。
「次の任務なんですけど」
空気が変わる。
「今回の対象ちょっと厄介らしくて、でもその前に一度学園へ戻りましょう。ボスがお怒りなので……」
煙草を踏み消し、軽く舌打ちを零す。
黒い背中はそのまま学園の道へ消えていった。
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