6 / 184
ハイスペックな彼氏⑤
風呂から出た俺を見た先生が、人差し指をクイクイっとさせて『こっちに来い』というジェスチャーをしている。
それに素直に従い、ソファー座っている成宮先生の前に膝を抱えて座り込んだ。床には、きちんとクッションまで置かれている。それを待ち構えていたかのように、ドライヤーの温かい風が当てられた。
「ったくお前は、いつも髪ビチャビチャのまま寝ちまうから」
「あ、すみません……先生」
「てかさ、お前。プライベートで先生は止めろって言ってるじゃん」
「あ、す、すみません」
「それに謝り過ぎだし」
文句ばかりいう割には優しい手つきで髪を撫でてくれるし、プフォというドライヤーの音が心地よくて……つい眠気を誘われてしまう。
「千歳さんの手……大きくて、優しくて気持ちいい……」
自分の髪を優しく掻き上げていた手をそっと掴み、無意識に頬擦りをした。
「俺は……この手が大好きです……」
それから、フワリと唇を寄せる。夢心地で凄く気持ちいい。体と心がフワフワして、蕩けてしまいそうだ。
「葵、可愛い」
「んッ……」
ドライヤーの音が止んだ瞬間、少しだけ強引に上を向かされて、成宮先生の唇と自分の唇が重なった。
「ふぁ……んッ……」
苦しい位に唇を奪われて、俺は必死に息を整えようと口を開いた。そんな無防備な俺の口内に、チュルンと成宮先生の熱い舌が侵入してくる。夢中で舌と舌を絡ませて、必死に成宮先生の体にしがみついた。
「葵……もうトロトロじゃん?そんなに俺のキス好き?」
「うん……好き……千歳さんのキス、大好き……」
「フッ。エッロ。可愛いなぁ」
俺が唯一、成宮先生に誉められる事と言ったら、『エロい』と『可愛い』だけ。しかも、こうやってイチャイチャしている時限定。
だから、正直戸惑いは隠せないし、不安にもなる。
俺は、こんな事をするためだけに成宮先生の傍にいるんだろうか……って。
「ならさ、葵。もっとキスしてって、おねだりしてごらん?」
「え?」
「言ってごらんよ、このエロい唇で」
「いや……恥ずかしい」
成宮先生から顔を背けようとすれば、
「コラっ、逃げんな」
逆に逞しいその腕に捕まってしまった。
「言わなきゃ、これでもうお終い」
そう囁かれながら、意地悪く洋服の上から両方の胸の突起をクルクルとなぞられる。その甘い刺激に、体がピクンピクンと反応した。
「ほら、おねだりは?」
「んあっ!やぁ……」
キュッと突起を摘まれてから、カリカリと爪で引っ掻かれれば息は上がり、どんどん顔が熱くなってくるのがわかる。
全身が、成宮先生を求めてしまっていた。
ともだちにシェアしよう!