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ハイスペックな彼氏④

「葵は俺の物だって?」 「はい。俺は先生だけの物です」 「フッ」 「え?」  拗ねているのかと思って、一生懸命ご機嫌を取ろうとしていた俺の耳元で乾いた笑いが聞こえてきたから、思わず顔を上げる。  そこには、不敵な笑みを浮かべた成宮千歳がいた。 「葵が俺の物なんて、当たり前だろうが?」 「へ?」 「当たり前過ぎて、笑っちまう」 「…………」  あぁ、この男が一瞬でも可哀想に思えた自分が馬鹿だったんだ……俺は酷く後悔してしまう。 「ほら、飯食うぞ。お前がノロマ過ぎて、冷めちまうところだった」  手をギュッと繋がれて、俺はリビングへと連れて行かれる。リビングに置かれたテーブルの上には、俺の大好きなハンバーグが美味しそうな湯気をたてていた。 「わぁ!美味しそう……ハンバーグだ」  思わず目をキラキラ輝かせれば、成宮先生がクスクス笑い出す。 「葵は本当に子供だなぁ」  無邪気な笑顔で頭を優しく撫でられれば、ずっと一緒にいる俺でさえ、ドキドキしてしまった。久しぶりに見た、成宮先生の笑顔。  やっぱり、成宮先生はかっこいい。 「今日、咲ちゃんの採血頑張ってたからな」 「え……?」 「お前にしたら頑張ったんじゃん?まぁ、失敗したけどな」  誉められているのか、(けな)されているのなんて分からなかったけど、こんなのはいつものことだ。これをいちいち気にしていたら、この人となんて一緒にいられるはずなんかない。 「いただきます!」  俺は両手を合わせてから、大きなハンバーグに食らいつく。 「でっけぇ口だなぁ」  そんな俺を見た成宮先生が、声を出して笑っていた。    

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