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ごめんね、大好き⑤
クチュクチュ。その都度卑猥な水音が、静かな室内に響き渡り……その音がダイレクトに鼓膜を揺さぶった。
「駄目だ。我慢できね……」
「あ、あぁ!」
成宮先生が、突然俺を強く抱き締め、無我夢中で腰を打ち付ける始める。
「やぁ…んん…あぁん…あぁ…!」
気持ち良過ぎて喘ぎ声が止まらないのに、それよりキスがしたくて……俺達は、夢中でキスをした。
ここが職場だとか、勤務時間だとか……そんな事、全てを忘れて、キスに没頭する。息継ぎを求めて、逃げ惑う俺の唇を追いかけ、成宮先生が更に深く唇を押し当てる。
「はぁ……んッ……くる……し……」
キスをしながら、パチュンパチュンと成宮先生が腰を少し動かすだけで、津波のように快感が押し寄せる。
「千歳さん、千歳さん……もっと激しく動いて?こんなんじゃイケない……」
「ん?葵はもう1回イキたいの?」
「うん、イカせて……お腹の中が熱い……熱いよぉ」
「お前、本当に可愛いな」
その時、俺は気付いてなんかなかった。
柏木と約束していた時間がとっくに過ぎていたことを。そして、医局のドアの鍵を閉めていなかったことも。
成宮先生の激しい突き上げに、俺はどんどん絶頂へと追い詰められる。
「はぁ……はぁ……あ、あぅ……あ、あぁ!」
2人の熱い吐息が、明るく照らされた医局に響き渡り……。
愛しい恋人と、肌を合わせることができる喜びを噛み締めていた。
だから、俺は何も見えていなかった。
「水瀬、遅れてごめん!」
「……え……?」
「…………はぁ!?あっ、あーー!!ご、ごめん!!」
突然頭側のドアが開き、柏木が顔を出した瞬間……。その場にいた3人の時間が止まった。
成宮先生は俺を組み敷いたまま、柏木を見上げ。俺は成宮先生に覆い被されたまま、柏木を見た。
あ、柏木が逆さまに見える……俺はボンヤリとそう思う。
多分こういう場合、目撃者は成宮先生ではなく、成宮先生に抱かれている人物に興味を持つだろう。
それに、抱いている成宮先生より、抱かれている俺のほうが、誰かに目撃された……っていう羞恥心と心のダメージはデカイんではないだろか。
案外、冷静に分析もしてしまった。
「………!?」
俺が体を強ばらせた瞬間、強く締め付けられた成宮先生が、「クッ!?」と短い悲鳴を上げて、こんな時にも関わらず、呆気なく果ててしまう。
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