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ごめんね、大好き㉛

「千歳さん、子供みたいで可愛い」 「可愛くねぇだろう。こんなデカいガキが、可愛い訳がねぇだろう」  そう言いながらも、甘えたように俺に体を擦り寄せてくる。 「でも……でも、俺はこの関係が心地いい」 「千歳さん……」  あの地上最強の天邪鬼のあまりにも素直な言動に、俺は激しく動揺してしまう。  この人にも、こんなに可愛らしい一面があるのか……そう思えば、愛しさが込み上げてきてしまう。  所詮俺も、甘いな……なんてわかっているけど、仕方ない。だって、俺は成宮千歳に完全に惚れ切ってしまっているのだから。完全に、自業自得なのだ。 「千歳さん、怒ってごめんなさい。職場にも迷惑かけちゃったし、悪いことしちゃいました」 「じゃあ、戻ってきてくれるのか?」  先程まで子供みたいにイジけていた成宮先生が、キラキラと目を輝かせながらパッと顔を上げた。 「はい。俺の居場所は、貴方の傍だけだし」 「葵……ありがとう」 「え?ちょ、ちょっと……あっ!」  俺は物凄い力で、成宮先生にベッドへと押し倒されてしまう。 そのまま髪を優しく撫でられてから、頬をスルッと指が這って行った。それがくすぐったくて、俺は思わず肩を上げる。 成宮先生に強く強く抱き締められたまま、飽きるまでキスを交わす。成宮先生とのキスは温かくて、甘くて……懐かしくて、涙が出そうになった。 「はぁ、あ、はぁ……ん、あ……」  チュクチュクと舌を絡め合って、ジュッと強く舌を吸われる。  息継ぎもできない程の濃厚なキスに、俺は酸欠になって頭が良く回らない。 「葵、ほら、こっち向けって」 「あぅ……ふぁ、あ、んん……」  逃げることも許されず、俺はおずおずと成宮先生に唇と舌を差し出す。そんな俺の舌先を、チロチロと成宮先生の舌が擽って行った。 「きもひぃ……」  久し振りに成宮先生とのキスに、俺がトロトロに蕩けてしまうのに、時間なんてかかるはずがない。 そして、もっともっと、成宮先生を近くに感じたい……という欲が、ムクムクと芽を出してしまった。

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