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ごめんね、大好き㉚
「葵、ごめんね。大好きだよ」
そう囁いた成宮先生に、そっと口付けられた。
最初は、嫌々して首を振って逃げようとしたけど、いつの間にか大好きな成宮先生とのキスに脳みそが震えて、蕩けて行くのを感じる。
「ん、んん……あ、はぁ……」
気付いた時には、自分の腕が成宮先生の首に巻き付いていた。
チュッと音をたてた後、成宮先生の唇が離れて行ってしまう。その去って行ってしまった温もりが寂しくて、
「ヤダ。もっと……もっとして?」
自分でも信じられないくらい甘ったるい声を出しながら、おねだりをしてしまった。
「もっと、キスする?」
「うん。もっとする」
成宮先生が満足そうに微笑んでから、また優しく唇と唇が重ね合わされる。
「ごめん、葵。大好きだから別れるなんて言うなよ。もう絶対、んー、多分あんなことしないから」
「あっ、多分なんだ……」
成宮先生が不安そうに俺の顔を覗き込んでくるものだから、俺は思わず笑ってしまった。
「だって仕方ないだろう。お前が可愛過ぎるから、ブレーキ効かない時がある。俺は、いつだってお前と触れ合っていたい。それが、家だとか、職場だからだとかって関係ない」
「また見られちゃうじゃないですか?」
「セックスしてるとこを見られるのなんかどうでもいい。ただ、俺が、俺が悔しかったのは……」
少しだけ目を赤くした成宮先生が、苦しそうに言葉を絞り出した。
そんな成宮先生の姿を見れば、俺の心まで苦しくなってしまう。
「柏木にしてるとこ見られたことより、俺しか知らない葵のエロい姿を、他の男に見られたのが悔しくて仕方ねぇ」
「え?」
「葵のあんな姿は、俺だけのものだ……」
顔を歪めた成宮先生が、俺をギュッと抱き締めてくれる。
ううん。違う。抱き締めてくれるっていうより、愚図った子供が、母親に縋りついて泣いているように俺には見えた。
そんな成宮先生を、俺は抱き締め返した。
「こんなんじゃ駄目だってわかってる。いつも俺が我儘を言って、暴走して、葵に迷惑かけて……最終的には、こうやって葵にまた甘えて」
「あ、我儘を言ってる自覚があったんだ」
俺は少しびっくりなしがらも、俺の首筋に顔を埋めて鼻を鳴らしている成宮先生の背中を、「よしよし」と擦ってやった。
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