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9.※性描写

ふっと笑った後、唇を重ねた。 腰を打ちつける音と、唇を重ね合う音が重なり合い、興奮が最高潮に至った。 腰を激しく打ち鳴らしながらも、唇は慈しみが感じられ、その優しさに触れて、そして正反対な感覚にどうにかなってしまいそうだった。 紫音が、めちゃくちゃにしたいのならして欲しい。けど、その優しさが彼らしくて、好き。 胸がいっぱいになり、ナカと絡めた腕をぎゅっと包み込むと、紫音が熱いものを射精()したのを感じた。 同時に達した朱音は、強く痙攣しつつも、紫音の腰辺りに足を絡めた。 余韻に浸っていると、紫音から唇が離れた。 「⋯⋯ありがと、朱音」 気持ち良くて流した涙の痕を慰めるように、キスを落とした。 ピクリ、と体が震える。 「朱音を⋯⋯このような形で愛せるのが、夢に思わなかった」 「俺も⋯⋯しおんにぃと呼び慕っていた人を、紫音と好きをいっぱい伝えることが出来て⋯⋯幸せ」 「⋯⋯朱音⋯⋯」 感極まって目が潤む彼に、「また泣いてる」と笑ったが、繋がったままの部分が、やや反応を見せたことで一瞬固まった。 「⋯⋯朱音が、可愛くて⋯⋯」 「あ、いや! 別にいいんだけどさ! そのあの、俺のせいで制服がまた汚れちまったし⋯⋯」 「いいの、気にしないで。僕は今日で最後だから、汚れても別にいいんだ」 「⋯⋯⋯俺が、しおんにぃの上着が欲しいって、言っても?」 え、という表情をした紫音をみつめた。 「タイミングが悪かった。けど、改めて会うのが当たり前じゃなくなるんだと思ったら、何かしおんにぃだと思えるものが欲しくて⋯⋯」 紫音は朱音よりも背が高い。だから、上着でも大きいが、文化祭の時感じた嬉しさも忘れられないというのもあった。 「⋯⋯もう一回、シテもいい?」 「えっ! あ、いや! シテもいいけど、下に親がいるし、さすがに⋯⋯」 自分から誘っておいてなんだが、雰囲気が雰囲気であったし、本能に抗えず、ひやひやしながらも、しかし、それも興奮材料となってしまっていたが。 「だよね⋯⋯ごめんね」 「いや! じゃ、じゃあさ! 今度はさ、誰にも邪魔されない所で、思う存分シたい! ⋯⋯紫音となかなか会えなくなるかもしれないのに、こんなこと言うのもなんだけど⋯⋯」 「ううん。朱音のためなら何がなんでも時間を作るよ」 僕のことを考えてくれて、ありがとうと、ぎゅうと抱きしめてくれた。 さすがにこんなワガママを言ってはダメだと思いながらも、紫音とこれから先も会えるのだと思うと、嬉しくてたまらなくて、返事代わりに抱きしめ返した。 十年以上会えなかった頃と比べると、待っていられる。 次はいつ会えるだろうかと思いながら、互いに気が済むまでぬくもりを感じ合うのであった。

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