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メイ Ⅱ-1
あの後、イツキは泣きながら俺に抱きついて来た。
なんかデカいガキみたいだったから、俺も思わずヨシヨシって頭を撫でてやったんだよ。
そしたら・・・また襲われた。
もう無理だって言ってんだろうがっ!!
乳首もチンコも尻穴も痛いんだよっ!!!
大切にするんじゃねぇのか??!
「メイをいっぱいイカせられて良かった」って、努力の方向が間違ってんの!気付けよっ!!
とりあえずその後また説教して、俺の乳首の腫れが引き、尻穴の痛みがなくなるまでSEXはしないと宣言。
イツキはまた泣いた。この三連休はずっとイチャイチャしたかった、と。その前とは違う悲壮感漂うガチ泣きだったけど、俺は絆されなかった。
だって、イチャイチャならSEXまでしなくてもいいだろ?
俺は自分の体が大事だからな!
こうして俺はイツキと付き合う事になったんだ。
それなりにイチャイチャした三連休明け、いつも通りにイツキと二人で学校に行くと、何だか周りの視線が生温い。いや、一部引くほどギラギラとした視線もあるな。
「・・・イツキ、お前速攻で喋っただろ」
「え~だって内緒にする理由なんてないでしょ?美見会のみんなにはずっと応援してもらってたんだから、報告しないと」
そう、その美見会なんだが、俺はその存在を漠然としか理解していなかったんだ。
俺とイツキが一推しのカップリングとして公式扱いされてるなんて、誰が思う?
実際には俺以外、生徒も先生もほとんどみんな知ってたんだけども。
イツキが、俺がそれを知れば絶対にイツキの気持ちに応えないからって、美見会には俺の耳に公式カプ情報が入らないよう、万全の体制で隠蔽するよう指示していたらしい。
しかも、俺に気がある女子も男子も徹底的に排除してたんだと。
ん?ちょっと待って?なら、俺にも女子とヤルチャンスがあったって事?!
いや、そりゃまぁ、今となってはイツキ以外と体を合わせる気はないけど・・・でもやっぱり、少しくらい女子とも経験してみたかったって思うのはしょうがなくない?
だって俺、ゲイってわけじゃないから。ヤリたい盛りの高校生だし。
ところで排除って何?怖いんだけど。
よくよく聞いてみれば、イツ×メイの素晴らしさを説いて美見会の世界に引きずり込むんだそうな。
う~ん、それにしても美見会ってもしかしたら、めちゃくちゃ有能な人材の宝庫なんじゃね?
排除っていうか洗脳じゃん。もう高校生の仕事じゃないよね。異世界小説に出て来る王家の暗部かな?
そう思っていたら、美見会の会長は昔から長(おさ)って呼ばれているらしく・・・もう、ますます暗部だよね?
まぁ、そんな感じでめでたく?学校でも受け入れられて、俺としてはちょっと気が抜けた。
いや、この学校が同性愛に寛容だってのは分かってたけど、あのイツキだよ?
学校中の女子が惚れてるみんなのアイドルイツキが、こんな平凡な男と付き合うなんて、絶対にやっかみや嫌がらせがあると覚悟してたんだ。
けど、実際には温かいどころか熱烈な歓迎を受けてみんなに祝福された。
ありがたい話なんだけど・・・
「うふふ、メイ、みんな祝福してくれて嬉しいね。これでもう心配する事はないよね」
俺がイツキとの関係を公表するのを躊躇っていたから、先手を打たれた感。
なんかムカつく!
何というか、こうやって全てイツキの思い通りになっていくのがちょっと嫌なんだよな。
そりゃ、イツキの事は好きだ。
それは抱かれて自覚した。
この先一生女の子を抱けなくても、イツキが居ればいいってほどに。まぁ、まだちょっとは女子に未練もあるけど、それは俺がゲイではないから仕方ないと思う。
イツキだから好きなんだ。性別は関係なく、イツキって個人が好きなだけ。
って、それは置いといて・・・
俺は、イツキの手のひらで転がされてるのが気に食わねぇんだよ。
そう自覚しながらも、イツキに甘やかされるのは意外と悪くなくて。キスやハグでイチャイチャするのは正直心地良い。
イツキは、俺の体が回復するまではヤラないって約束を律儀に守っていたので、平和な一週間を過ごしたんだ。
そして週末、俺のバイト先にイツキの姉、瀬名 梓(せな あずさ)が来た。
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