裏筋に触れただけでも、今の敏感となった部分には、先端から我慢汁が溢れてしまうほどに気持ちよく感じられる。 ─⋯⋯気持ちいい、のか⋯⋯？ 「きもち、いい⋯⋯」 紫音が朱音のとまとめて手の中に収めたように、朱音も自身のを掴み、ゆっくりと動かす。 「ん、んっ、ふ、んっ、ふっ⋯」 自分のと、やや大きい紫音の熱と我慢汁、そして、その二人分の恥ずかしいほどの水音が混じり合うという、刻まれた記憶が耳に再生されたようで、ゆるゆると動かしていた手が掻き立てられた。 「ふぁ、あっ、んぅっ、んんっ、あぁっ、んっひぅ」 我慢しようにも、我慢しきれない自身の甘い吐息でさえ、快感の波へと誘われる。 「も、もう⋯⋯、んっ、むりぃ、しおん、にぃ、イッ、ちゃ⋯⋯っ！」 記憶の紫音の手で快感の波にさらわれた。 体を小刻みに震わせ、腹奥に溜まっていた熱を放出する。 「んっ、きもち⋯っ、きも、ちいい⋯⋯しおん⋯にぃ⋯⋯」 彼の手が朱音をも共に汚れていく。 その時、エプロンを汚してしまったことで、紫音は眉を下げていた。 だから、エプロンを取れば大丈夫だって言ったら、「可愛い」と大げさに言ってきた彼に破顔したが──。 ──俺の前には来ないでくれ。 ハッと目が開く。 ──なりたいものになれない。⋯⋯邪魔だ。 突然の急な態度に、朱音は理解が追いつかなかった。 どうして、あのようなことを言ったのか。昔からの泣き癖でさえも愛おしくて、しかも「好き」とまで言ってくれたのに。 自分の何が悪かったのか。 こんな気持ちがまた溢れてしまうのならば、やっぱりこの手に持っているものを捨てておけば良かったか。それよりも、紫音を必要以上に求めなければ良かったのか。そうしたら、無難な文化祭になっただろうか。 ずっと捜し求めていた人を、必要以上に求めたいと思うのは自然なはずだ。だから、でも、それが紫音の迷惑になってしまっている。 「しおんにぃ⋯⋯俺は、どうしたらいい⋯⋯？」 溢れ出す感情に堪えたくて、膝を抱え込むような格好になったものの、堪えきれず、目から溢れ出て、一人すすり泣くのであった。