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39.
紫音も同じような顔で見返した。
「私達も帰りましょうか」
「はい」
朱音の母親について行ったが、不意にまた大切に握りしめていたシーグラスを、半分ほど沈みかけていた夕日にかざした。
さっきよりかは暗くなってしまい、よりぼんやりとしてしまったが、それでも高揚感が湧き上がってきた。
磨けば、より景色が鮮明に見えるだろうか。どんな形を朱音とお揃いにしようか。
考えれば考えるほど、頬が緩んでしまうくらい楽しく感じられるが、同時に朱音との別れが近づいていき、悲しみが溢れ出てきてしまう。
きっと朱音と会えるのは、このひと時だけで、これから先は会うことはないのだろう。
今まで会ってきた、今はもう顔すら覚えてない人達のように。
だから、この手の中にある物でどうか、自分のことを思い出して欲しい。
顔も名前もおぼろげになってもいいから。
紫が入り交じる空が迫る中、紫音は悲しげにそう思うのであった。
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