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その日に必ずやっていることがあった。
それは、兄のように慕っていた恋人の紫音とのメッセージでのやり取りだ。
基本的にメッセージを送るのは、朱音からだ。
紫音が出演しているドラマやバラエティ番組はもちろん、最近は特撮俳優も写真集になったりするので、それらの話を意気揚々とすると、『嬉しい、ありがとう』とまずそう返してくる。
『朱音が観ていると思うと、頑張れる』やスタンプを知らなかった紫音に贈った、だらけたプレーリードッグで気持ちを表現してくれていた。
たまに大野達とこんな話をした、こんなことが周りで流行っている話をしても、『そうなんだね』とか『あっいッスね』と涅槃像 をしているプレーリードッグを送ってくれる。
言葉を一つ一つ拾って、聞いてくれているというのがひしひし伝わって、素直に嬉しい。嬉しいとは思うが、さすがにこっちばっかりの話を聞いているのは面白くないのではと思ったことがあり、『俺ばっか話していても、面白くなくない? しおんにぃ、話したいことがあったら話して』と送ると、『そんなことはないよ。朱音の話は面白いよ』と返ってきたし、それに。
『僕は常に朱音のことばかり考えているから、特に話題はないんだ』
我が目を疑ったぐらいに、不意を突かれた。
そんなことを平気で言ってしまうのだから心臓が持たないし、同時にこちらのことを想っているのが、真正面にどんっとくる。
受け止めきれない、されど紫音のひたむきな愛に応えようと、『俺もそんなこと言うしおんにぃが好き』と返そうとしたが、無性に恥ずかしさを覚え、好きと書かれたハートを掲げているリスのスタンプを送るのが精一杯だった。
そんな他愛のない話の中にある、紫音からの想いを改めて感じ、胸がいっぱいいっぱいになっていた日々を過ごしていた時。
ピコーンと、誰かからのメッセージが来たことを告げる通知音に何気なく見ると、そこには。
『さみしいきて』
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