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ふたり占め#3 ①
どうしよう。
初めての経験に俺は悩む。
2月14日、藍流 と流風 にチョコをあげるかどうか。
あげたら喜ぶだろうな。
でもチョコ作りなんてした事ないし、買うのも勇気がいる。
そう思いながらもチョコ売り場の前で足が止まってしまう。
どうしようかな。
「浅羽 くん?」
「えっ!?」
突然呼ばれてびっくりして振り返ると、同じクラスの女子三人が立っている。
「どうしたの?」
「えっと…」
「あ、もしかして藍流先輩と流風くんへのチョコで悩んでるの?」
「あの…」
「一緒に選んであげる!」
腕を引かれてチョコ売り場へと連れて行かれてしまった。
「ふたりはどんなチョコが好きなの?」
「それがわからなくて…甘いものは好きみたいなんだけど」
「そっかー」
三人は俺の話をひとつずつ聞いて一緒に悩んでくれる。
なんか楽しい。
あれは?これは?あっちもよさそう、と四人で色々見て回る。
悩んで悩んで、違う種類のアソートチョコをひとつずつ買った。
そこで気づく…チョコあげるんだ、俺。
あげるかどうしようか悩んでいたのに、いつの間にかあげるという方向に流れていって購入してしまった。
買ったチョコをバッグにしまって、女子三人にお礼を言う。
「ありがとう、助かった」
「ううん、私達も楽しかった」
「藍流先輩と流風くんに喜んでもらえるといいね」
「うん」
「俺達がなに?」
「ひっ!」
突然背後に藍流と流風の声が聞こえて、変な声が出てしまった。
振り返ると本物。
チョコ、バッグにしまっておいてよかった。
女子三人はきゃあきゃあ喜んでる。
ふたりは笑顔を振り撒いてる…けど。
「楽しそうだね、奏 」
「えっと…」
「このままうちに寄ろうか」
「……」
藍流と流風が微笑む。
なんでこういうタイミングで現れるのかな…。
◇◆◇◆◇
「奏はあの子達となにをしてたの?」
「…ん…」
「奏、教えて?」
ぐったりとふたりにもたれかかる俺の肌を撫でながら、流風と藍流が順番に聞く。
頭が回らない。
あの子達?
「奏? 答えられない?」
「じゃあもう少しカラダに聞こうかな」
優しい声で囁かれ、口を開くより先に藍流の指が奥まった蕾へと触れた。
「あ…」
「答えたくないならそれでいいよ」
そう言って指を挿れて弱い場所を責め始める。
「あっ! あ…だめ、やっ…!」
快感に身を震わせる俺の全身にキスが降ってくる。
小さな刺激さえ悦んでしまうカラダが、もっともっととふたりを求める。
「っ! ぅん、あ…あ!!」
たくさんイかされたあとなのに呆気なく達する俺を藍流と流風が見ている。
恥ずかしくて顔を腕で隠すと、その腕をシーツに押さえつけられた。
「ちゃんと見せて」
「や…!」
首を横に振るけど、それがかえってふたりを煽ったようで熱いキスがたくさん落ちてきた。
同時にナカを刺激する藍流の指に流風の指が加わって、ばらばらに動いて俺をおかしくする。
身体中が熱くて呼吸が乱れる。
また限界を迎える俺を追い詰め続けるふたりの長い指。
すぐに俺は指じゃ足りなくなって、もっと熱いものを求める。
ふたりはそうなるのがわかっている。
それが恥ずかしくて嬉しい。
俺以上に俺を知ってくれている事に心が満たされる。
先に藍流が挿入ってきて奥を突き、俺を狂わせた。
流風は甘いキスをくれて、胸の突起に悪戯したり、肌を甘噛みする。
溶けていく俺を離すつもりなんて一ミリもないふたりの愛が心地好い。
また達した俺のナカで藍流が果てる。
綺麗な顔が気持ちよさそうに歪むとゾクッとする。
すぐに流風が挿入ってきて、更に俺を追い詰める。
切羽詰まった喘ぎが止まらない俺の肌に、今度は藍流がキスと甘噛みを繰り返して舌を這わせていく。
震える身体の抑え方なんてわからなくて、刺激の全てに身を跳ねさせる俺をふたりは満足そうに見つめる。
昇り詰めた俺と一緒に流風も達して、また藍流が滑り込んできて。
俺の意識がぼんやりしてくるまでふたりは離してくれなかった。
…………
………
……
…
ぽーっしたまま藍流と流風に抱き締められてベッドに横になる。
俺はなんとか頭を働かせる。
「チョコ、を…一緒に見てて…」
「チョコ?」
「ん…」
流風に聞かれて頷く。
「バレンタインの?」
「ん…あいるとるかに」
藍流に聞かれてもう一度頷く。
「奏、とろんとしてて可愛いね」
「また食べたくなっちゃう」
藍流と流風が耳元で囁く。
すぐに疼き始めてしまうほど素直にふたりを求めてしまうカラダも嫌じゃない。
「あいる、るか、キス…」
キスをねだると、ふたりはちょっと意地悪に微笑む。
「ちゃんと全部話したらしてあげる」
「話すまでお預け」
流風と藍流がそう言って俺の唇を手で覆う。
「やだ、キス…」
俺が藍流の首に腕を回そうとしたら逃げられた。
「だーめ。キスはご褒美」
「ほら、奏。続きは? チョコを一緒に見て、それから?」
藍流も流風も意地悪。
でも頭の中がぽやっとしたままの俺は、正直に話せばキスをしてもらえると素直に口を開く。
「ふたりにチョコ買った…」
「それで?」
「それだけ…キスして…」
もう一度キスをねだると、流風が甘いキスをくれた。
唇が離れて、藍流が熱いキスをくれる。
力が抜けて脳が蕩けていく。
交互に与えられるキスに夢中になって、ふたりの舌と唾液を味わう。
「ん、ふ…ぁ、ぅん…」
ふたりのキスと体温の心地好さにそのまま俺は寝落ちてしまった。
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