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第4話
「またかね!!柊くん!!」
コスイベから数日が経ち、いつも通りの日常に戻っていた。
頭が少し寂しそうな上旬からいつも通り説教を受けて、謝罪を繰り返す奏多。
漸く解放されて席に戻ると先程まで説教を見ていた全員の目がパソコンの画面に戻った。
奏多も仕事に集中していると、机の上に置いてあるスマホを開いて待ち受け画面を見た。
待ち受け画面は琉斗のマルスの写真になっていた。
(何かストーカーっぽいけど、琉斗さんのマルスが完璧過ぎるから、許してほしい!ごめんなさい!琉斗さん!!)
心の中で謝罪をしながらスマホを閉じると張り切って仕事を進めた。
そして就業時間終了になり、1人が帰るとまた1人帰っていき、いつの間にか奏多だけになってしまった。
「終わったぁー…あー、また俺だけか…」
誰も居なくなったフロアを見てため息をつくと、急いで帰ろうと身支度を整えた瞬間、チャットの通知が鳴り見てみたら愛佳からだった。
開いて確認をすると、まさかの内容に奏多は驚いてしまった。
『お兄ちゃん!○○駅の広告が次回イベントのマルスになってたよ!!』
その駅は奏多の会社と家の間にある駅な為、寄ることが出来ると思った奏多は急いで荷物を持って会社を後にした。
駅に向かい電車に乗って、普段は通り過ぎる駅で降りると駅の中を見回った。
夜だが人は多く、学校帰りの制服を着た学生や今から遊ぶのか私服の若い子、奏多みたいに会社から家に帰ろうとしているサラリーマンでごった返していた。
愛佳からの連絡を頼りに広告を探していると、店が並ぶ通路でピタリと止まった。
そこには、黒色の衣装に身を包んだマルスの次のイベントのカードが掲載されていた。
(めっちゃかっこいいー!!)
心の中で叫びながらスマホを連射モードにして撮ってホクホクしていた。
見てみると来週からのイベントの衣装だと分かり、奏多は頭の中でお金の計算をし大丈夫だと分かると頷いた。
あと何枚か撮っておこうとスマホを構えた瞬間だった。
「うわっ!?」
いきなり携帯が震えだし落としそうになったが…何とか落とさずに済むと画面を確認し、そして驚いてしまった。
琉斗からの通話だったからだ。
何で!?どうして!?とパニック状態になった奏多だったが何とか深呼吸をして落ち着くとゆっくり通話ボタンを押して、スマホを耳に当てた。
『こんばんは、奏多さん。お仕事終わりましたか?』
「こ、こんばんは…琉斗さん。うん、終わったよ…どうかしたの?」
震えそうになる声を抑えながら話すと、琉斗からは何も返事が返ってこなく奏多は首を傾げてしまった。
電波が悪いのかと思い「もしもし?」と声を掛けるとすぐに返事が返ってきた。
『ああ、すみません、少し背後がうるさくて…』
「え、あ、ごめん。ちょっと外にいるから…」
『いや、奏多さんのではなく…あ、もしかしてマルスの広告ですか?』
「そうそう!愛佳に教えて貰ってすぐに来ちゃった!もう本当凄くかっこよくてね!色気たっぷりで!!いや、普段から色気とかあるんだけどね!!」
力説をしてしまい、ハッと我に帰ると奏多は小さな声で謝罪をし真っ赤になった頬を手で押えた。
すると電話の向こうからクスクスと琉斗の笑い声が聞こえ、恥ずかしさで耳まで熱くなってしまった。
『マルス好きが伝わりますよ、顔も耳も真っ赤にして』
「えっ………」
どうして今の自分の状態が分かるんだと、思い奏多が辺りを見渡そうとした瞬間だった。
いきなり後ろから抱き締められて振り返るとそこに居たのは琉斗だった。
「こんばんは、奏多さん」
「りゅ、琉斗さん!?こんばんは…何故ここに…」
「ゆいからマルスの広告を聞きまして、まさか奏多さんに会えるなんて…運命だったりして…」
マルスが主人公に言う様な言葉に奏多はドキッとしたが、すぐに琉斗の腕の中から離れると向かい合った。
「そ、そんな言葉は可愛い女の子に言ってあげなよ、俺みたいな男じゃなくてさ…」
「…どうして?俺は貴方に会いたかったんですよ、奏多さん…」
心地好い声で耳元で囁かれてしまい、耐えられなくなってしまった奏多は思いっきり頭を下げるとその場から走って逃げ出してしまった。
そんな奏多の背中を見つめながら琉斗は残念そうな表情をしているのであった。
「た、ただいま!!」
息を切らしながら家に入るとちょうど風呂から上がった愛佳とバッタリ会ってしまい、愛佳はきょとんとしながら「お、おかえり…」と返してきて、奏多はリビングダイニングには寄らずに部屋に向かった。
そして、部屋に入った瞬間その場に蹲ってしまった。
頭の中には先程の琉斗の言葉がグルグル回っていた。
(俺、俺、イケメンに弱すぎだろーーー!!!)
頭の中で叫ぶ奏多なのであった。
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