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第8話

「お兄ちゃん、かっこいいよー!!」 温泉から帰ってきた数日後。 奏多は久々にコスイベに参加をしていて、ラッキーに扮した愛佳が嬉しそうにレオンに扮した奏多にカメラを向けて何枚も撮っていた。 恥ずかしそうにしていると、そこにマルスとリリィのコスをした琉斗とゆいがやってきて近寄ってきた瞬間、琉斗に手を掴まれてしまった。 「へ?」 「奏多さん、久しぶりですね…ずっと会いたかった…」 「いや、この間会ったじゃないですか!?というか、こんな手を握ったりしたら駄目です!!」 ペシっと無理矢理剥がすと琉斗はしゅんと落ち込んできて、心にぐさっと来たが何とか我慢をすると…そこにハイトの新衣装に身を包んだはじめがやってきてあまりの綺麗さに周りは見惚れていた。 奏多も見惚れているとバッチリ目があってしまい、笑顔を向けられた。 「奏多さん、愛佳さん、琉斗さん、ゆいさんおはようございます!」 「お、おはよう、はじめさん、衣装凄いですね」 「はい、愛佳さんに手伝ってもらいながら準備しました!」 「じゃあ早速写真撮っていいですか?」 カメラを構える愛佳に全員は頷くとそれぞれポーズや表情を作って撮影を開始した。 久々のコスイベに奏多は心の中で楽しんでいると、琉斗とはじめが奏多を挟んで立ってきて、ん?となった時にはかなりの密着度で奏多は顔を真っ赤にしながら2人を剥がした。 「密着度高い!駄目!」 「はーい…」 しゅんと落ち込む2人に怒っていると…愛佳が声をかけてきた。 「お兄ちゃん、そろそろ休憩に行かない?」 愛佳の提案に奏多は「そうだな」と言うと、他の3人にも了承を得て全員で近くのファミレスに移動をした。 ファミレスに入り、奥に座る琉斗、ゆい、はじめの3人を見てイケメンっぷりに奏多はボーッとしながら見ていると琉斗とばっちり目が合ってしまい、すぐに愛佳とメニュー表を見始めた。 それぞれ頼んで料理来るまで他愛ない話をしていると、ゆいがスマホを取り出して画面を見せてきた。 「じゃーん、この間の温泉旅行の写真でーす」 「おお!!めっちゃくちゃ素敵ー!!」 流石に愛佳の前なので絡みが強いのは除外しており、奏多はホッとしながら見ていると…ふとはじめを見ると真剣な表情で見ていて首を傾げた。 問いかけようとしたが、そこに料理が来てしまい何も言えなくなってしまった。 そして休憩を終えてファミレスを出ると、ゆいと琉斗は他の人と撮影があるのでその場で別れてしまい3人で撮影を再開することにした。 色んなレイヤーさんや一般参加している方々と楽しんでいるとだんだん人気が少なくてなってきてコスイベの終わりが近づいてきていた。 奏多はゆっくり目を閉じてから開くと、愛佳と話していたはじめに近寄り声をかけた。 「ごめん、愛佳。はじめさん借りていい?」 「?いいよ、撮影ならしよっか?」 きょとんとした顔でカメラを見せてきた愛佳に対し、奏多は首を横に振ると真剣な表情と声色で伝えた。 「大事な話だから」 その言葉に察したのかはじめは「分かりました」と言うと、その場から離れて人気が少ないところに向かった。 「それで奏多さん、大事な話って…」 「うん、告白なんだけど…」 そこで言葉が途切れてしまい、口に出しづらかったが何とか決心すると頭を思いっきり下げて伝えた。 「ごめんなさい、付き合えません」 頭を上げたが顔を上げることが出来ず、俯いているとはじめの声が聞こえてきた。 「やっぱりそうですよね…何となく気づいていました」 「え…?」 顔を上げるとはじめがスマホを弄っていて、画面を見せてきて見てみるとそこにはさっき皆で撮った写真と温泉の時に撮った写真があり、首を傾げた。 ジーッと見ても何の違和感もなく不思議そうに見つめているとはじめが言ってきた。 「奏多さん、皆さんの前と琉斗さんの前じゃ全然顔が違うんだな…って思っていました」 「嘘っ!?」 まさかの事に何度も見返したがやっぱり分からなかった。 そんな奏多を見て、はじめはクスクス笑うとスマホをしまって話し出した。 「いつも2人を見ていて…思ったんです。奏多さんにマルスっぽく振る舞う琉斗さん心までマルスになりきっているのか…と思ったらそんな事なくて、奏多さんが好きだからあんな行動をしているんだなーって…そしてそんな事されて奏多さんは凄く嬉しそうで…だから告白しても無いだろうなと思ってました」 「はじめさん…ごめんなさい」 もう一度頭を下げるとはじめが慌てながらすぐに上げさせてきた。 そして肩をしっかり掴むと真剣な表情で聞いてきた。 「奏多さんは琉斗さんのことどうなんですか?」 「俺は……… 大好きです…マルスとかイケメンとか関係なく琉斗さんが大好きです」 そう答えるとはじめは嬉しそうに笑って肩を掴んでいた手を離して一歩下がった。 「琉斗さんじゃ敵いませんね、俺は諦めます…」 「はじめさん…」 「それより、これからも一緒にコスプレしてくれますか?」 まさかの問いかけに奏多はきょとんとしたが、すぐに「もちろん!」って返事をするとはじめはニッコリ笑って奏多も笑顔で返したのであった。

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