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第2話

「立ち飲みじゃん?何で?」 「安いけどうまい酒って魅力的だろ?」 「ははっ、わかるかも」 そういえば気張ってたな…だとか我慢してたのかなーとか。 大切なカノジョに贅沢させてやることばっかり考えていた。 次はどこのレストランに行くのか?次はどこのバーにいくのか? 期待されて意地っ張りになっては、カッコつけというレッテルを貼られ… 我慢してたのだ、それにすら気がつけなくなっていて、寧ろ良かったんじゃ?今こんなに優しい人と酒飲めてるし。まぁ、やばい…それでも色んな愚痴が急に溢れてきそう、ほんとにやばい。 「んじゃ、まずはこれがいい。」 「俺もそうする、ハイボール2でお願いしまーす。」 はいよー、と店の人に言われては瞬時にハイボールにありつけた。早いなぁ、無駄に早い、嬉しいな。 お互いハイボールを頼み同時に笑いあい、同時にそれの口に含んでは、少しずつ心の距離が縮まる感覚があった。 もう、仲良くなった。幸せだ、嫌なこと全部忘れちゃうんだ。 店員さんからも 「楽しそうで何よりです。」 とにこやかに喜ばれて気持ちが良くなるし 名前の知らない優しい人からは 「本当は辛かったんだよな?」 と自分の生き方を肯定してくれたり そんな感じで 俺は飲まされ続けた。いい気分になり続けたのだ。その結果…

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