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第18話 3章 地獄の日々

 佑三が、仙千代を伽の間に連れてくる。いつもは仙千代を中に入れて、佑三は外で待機する。それで下がろうとすると義政の声が掛かった。 「今日はお前も入れ!」  戸惑いはあったが、逆らうことは許されない。佑三は中に入り、仙千代の後ろで控える。 「今日は、お前ら二人一緒に伽をさせる。並べて可愛がってやろうぞ」  漸く義政の意図を理解する。とことん下劣な奴と思うが、自分も犯されるなら、仙千代の負担は軽くなると思いなおす。 「ふふっ、面白い趣向じゃろ。そなたら、可愛がってやるのじゃ。早ういい声で啼かせるのじゃ」  義政にけしかけられた、側仕えのけだものたちが、仙千代と佑三を並べ、下卑た笑いを浮かべながら見下ろす。一人が仙千代の、もう一人が佑三の着物を脱がし覆いかぶさる。  その時、仙千代の手に佑三の手が触れた。それは偶然だった。仙千代は、佑三の触れた手にそっと指を這わせる。仙千代の指は冷えて冷たかった。しかし、その指から佑三は仙千代の息吹きを感じる。  佑三も仙千代の指に自分の指を絡ませる。佑三の指は温かった。仙千代は、その指から温もりと共に、やはり佑三の息吹きを感じていた。  二人は、指を絡ませてそして握り合う。指から思いを伝えるように……。その互いの思いは、確実に相手へと伝わっていた。  仙殿、好きだ! その思いを仙千代も受け止めていたのだ。  だが、その握り合った手は、凌辱者たちによって離される。仙千代の手は、けだものの背を抱くように強いられ、佑三の手は四つん這いを強いられることで……。  その後は、二人ともに散々嬲られつくした。  余りに激しい責めに、仙千代は涙を流しながら許しを請う。 「もういや……いや、許して……」 「なんじゃ、その言葉づかいは! それが若君様への言葉か」 「いや……いやでございます……どうか、どうかお許しください」  必死に言い募る仙千代。身も世もあらず泣きながら請う。  凌辱者たちは、そんな仙千代に益々加虐心が刺激され、虐めつくすのだ。しまいには、道具まで使って責め抜かれた。  佑三は、自分も朦朧となりながら、仙千代の懇願の声を聴く。  余りに可哀そうで、どうしたら仙千代を守れるのかと思う。しかし、この状況でそれは不可能だった。『仙殿すまぬ、何もしてやれぬ』心の中で詫びることが、出来ることの精一杯だった。  結局二人は、息も絶え絶えに、気を失うまで許されることはなかった。  けだものの群れは、気を失った二人をそのままに部屋を出た。  佑三が気を取り戻した時、部屋には仙千代と二人だけだった。  仙千代は、裸のまま横たわっていた。その身はけだものたちの精で汚れ、顔は生気がなかった。しかし、美しい、きれいな人だと思った。どんなに嬲られ、その身も精で汚されようと、仙千代の清廉な魅力は失われていないと思った。  しかし、その汚れは清めてやりたかった。何よりもこのままでは、身が冷えて風邪をひく。裸のまま、何か掛けることも無く放置していった、けだものたちに改めて怒りが沸いた。全く人でなしが! と。

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