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第15話:恋するライオンは眠らない

「おれ、ゆたかくんだいすき!」 2人の出会いは、豊の隣の家にレオの家族が引っ越してきたのが始まりだった。 豊が13歳、レオが5歳だった。 元々イギリスで仕事をしていた夫婦は仕事の関係で日本に来たようだった。 イギリスと日本をいったり来たりしているらしいが、レオの教育のためにもしばらく日本にいるとのことで、豊の両親が説明を受けていたらしい。 幼いレオはイギリス人の母親と日本人の父親との間に生まれたいわゆるハーフだった事もあり、銀髪でグレイの瞳をしているこれ以上ないくらい可愛いかった。3歳の頃から子役の仕事をしていた。家が隣ということもあり暇があればレオは豊の家に遊びに来ていた。 母親は海外で会社を経営しており、レオのマネージメントもしていた。父親も外資系の商社で働いており忙しかったため、よく豊の家でレオを預かったりしていた。 またいつものようにレオを預かった日、 2人はゲームをしてそれぞれの部屋で眠りについた。 豊の母親はレオを預かった時、客間に布団をしいて泊まらせていた。 一応レオの親がいい育ちだからか気を使ったのかも知れない。 だが、レオ自身は違っていた。 ある夜、 豊がドアをノックされて、ふと目を覚ます。 外は大雨。ドアが小さく開くとそこにはレオがいた。 「どうしたレオ?」 「ゆたかくん、雨がすごくて・・・・」 枕を抱えて震えていた。 豊は内心1人で留守番して甘えることも我慢してるんだよな。 そう思い、 「おいで」 豊がベッドの布団を開いてこっちにこいと促す。 レオはぐずりながら、豊の布団へ潜り込んだ。 「泣くなよ。明日は晴れるから」 と、自分の隣で横になるレオの背中を、 布団の上から撫でた。 「ゆたかくん、ぼくのヒーローみたい・・・」 と、安心したのかゆっくり眠りについた。 それを見ながら、自分に弟がいたら、 こんな感じなのかと考えながら彼の寝顔を見つめた。 それ以来、 レオは客間ではなく豊の部屋で泊まるようになった。 豊が18歳、レオが10歳になったある日、 レオは縁側に寝転がる豊に、 「おれ、すきなんだ。ゆたかくんのこと」 ゆたかは縁側の前で、 というか縁側に寝転んでいる豊の前に、 ビシッと立ち尽くしているレオを見つめた。 「?うん、おれも好きだけど」 この温度差が豊には分かっていなかった。 レオは、 「おれがおとなになったら、つきあって!」 (つきあう・・・?男同士だぞ?) 豊にはまったくピンときていなかった。 「男同士ではつきあえないよ」 「どうして?」 「えー?むずかしいな」 「このげんだいでは、おとこどうしだってけっこんできるよ」 「難しい言葉しってんな」 まだ子どもだ。大人になったら気持ちも変わるだろう。 豊はそう考え、 「あー、じゃあ、お前が今の俺と同じ歳、18歳になってもまだ俺のこと好きだったら、いいよ」 「ほんと!?」 輝いた顔をするレオに、 かわいいなと思いながら、 「いいよ」 「ぜったい約束な!」 レオははしゃいで、庭の中を走り回る。 そう、豊は理解していなかった。 この約束が、 後の自分に降りかかる事を全く予想していなかったことを。 その約束を最後に、レオとは疎遠になった。 レオはいつのまにかイギリスに行ってしまったらしいと、豊は母親に聞いた。 その後、豊は大学進学と同時に実家を出て、就職し、 レオの告白から8年が経った。 豊は職場のオフィスで報告書を作成しながら、簡単に昼食を取っていた。 「狭間センパイ、今度の週末のレクレーション参加します?」 と、豊の後輩の三吉が、後ろのデスクからこちらに声を掛けてきた。 「週末は実家に行くからダメだ」 三吉の方を見ることなく、 サンドイッチをもしゃもしゃと口に含みながら答える。 「ああ、実家の手伝いっすか?」 「んー」 豊の実家は武道の道場を営んでいた。豊自身も一応師範の資格がある。最近父親は子ども向けの教室を始めたので、豊が手伝っているのだ。 それが実家を出る条件だったからだ。 (あのクソジジイ・・・) 今思い出してもムカついてくる。実家を出る際には父親と最初で最後の大喧嘩をしたからだ。 父親は道場を一人息子である豊に継がせたかったが、豊は一般的な生活をしたかった。 そのおかげで、休みはないようなものだ。 「お前は行くの?」 「あー、俺実は顔合わせで・・・」 「え、結婚するの?」 「ちがいますよ、親が再婚するんです。それで相手にも連れ子がいて・・・」 「えー、この歳からか」 「結構キツイっす」 三吉の家族もなかなか大変らしい。 昼休憩時間のため、オフィスにいる社員はまばらではある。 三吉はいつも昼食は食べないらしく、 会社近くのカフェでテイクアウトしたコーヒーを飲みながら、 「その相手の連れ子が仕事で日本に来るタイミングらしくて」 「へー」 豊はそんなに興味はないらしく生返事を返すのみ。 三吉も豊のリアクションがつまらないのか、 「レクレーション・・・行きたかったな」 などと弱音をこぼす三吉。 この会社のレクレーションは各支店の社員が集合する会社のイベントで、 別名昼の合コンといわれている。 肩を落とす三吉の背中をぽんぽんと叩いてやる。 「ドンマイ」 豊はそのまま残りの昼食を済ませて、報告書を仕上げた。 週末、狭間家。住まいの隣に小さな道場がある。大人向けの道場であるがぶっそうな世の中だることを踏まえ、父親が子ども向けの教室を始めたのだ。 師範の資格はあるとはいえ、普段はサラリーマンである豊にとっても良い運動になった。 「はい、今日の教室はおわりです」 『ありがとうございました!!』 1年生から6年生までの12人の生徒たちが同時に挨拶をする。 礼儀を教えるという意味でもこの教室は町内会でも好評だった。 教室が終わりで片付けをしていると、 ガラッ 道場の扉が勢いよく開く。 「どちらさま・・・」 振り返ると、そこには銀髪のキレイな顔の男がこちらを見ていた。 キラキラと瞳でこちらを見つめている。 長身でまるでモデルみたいな・・・ しばらく豊が見とれていると、 その男はこちらにすたすたと歩いてきて、 「豊くん!俺18歳になったよ!」 「え・・・?」 近づいてくると豊よりも15センチ程大きい。 ぐいぐいくる青年は目をキラキラ輝かせながら、 豊の手を握り、 「俺だよ、レオだよ!」 「レオ・・・!?」 言われてい思い出す。 昔隣の家に住んでいたハーフの少年の事を、 「約束忘れてないよね?」 「へ?」 「俺が18歳になっても、豊くんのこと好きだったら付き合ってくれるって」 「!!」 その言葉で、走馬灯のように、 すべてを思い出す。 言った。 たしかに俺は言った。 だがしかし、 しょせん子どもの冗談だと思っていたから。 だが今眼の前に立っているのは、あの子どもではなく立派な青年だ。 おもかげはあるが、 「豊くんが高校卒業した時に、俺イギリスに行ったんだよ」 「へ、へえ」 言いながら、 ジリジリと壁際へ押されていく豊。 「だから、ずっと会いたかった」 そういって、レオは豊にチュッとキスをした。 「!?」 驚いて動けいないでいると、 レオの舌がどんどん豊の口の中に入ってくる。 たまらず、 「なにを・・・してんじゃ!」 と、豊は掴まれている腕を振りあげて軽々とレオの身体が宙に投げ出されて、 「ってぇ!」 ドシーンと大きな音を立てて、道場の床に落とされた。 「レオ!」 そこに突然現れたのは、謎の外国人女性。 パンツスーツの見るとどうやら外国人らしい。 「おのれ!」 と何故か豊に向かって突撃してきて、 力強いケリを豊の顔に向かって振り上げる! 筋はいいが、 「やめてエレナ!それが豊くんだよ!」 「え」 「うるせえ!」 と、女が止まった隙をついて、 豊はの首に手刀を打つ。 「はうっ!」 女は停止する。 その後、 豊の家に移動し、 「だめじゃないかエレナ、オレの大事な豊くんに飛びかかるなんて」 「だって、レオがいじめられてるかとオモッテ」 とりあえず、2人にお茶を出しながら豊は冷淡に、 「で、そちらの方は?」 レオはにこにこしながら、 「こちらは俺のマネージャー兼ボディガードのエレナだよ」 と、紹介すると、 「エレナ・ミヨシと申します。過去にキックボクシングをヤッテイテ。先程はレオが襲われていると勘違いしてモウシワケありません」 時々外国の方のなまりがでるエレナ。 イギリス人だそうだ。 「ああ、いいえ」 (あんな急に攻撃してくるマネージャー怖いけどな・・・) 「マネージャーって?」 「ああ、僕モデルやってるから一応そこそこ有名何だけどね」 「へ、へえ・・・」 何もかもが突然すぎて、 もう何を言われても驚かない豊。 電話が鳴り、席を外すエレナ。 豊の家のリビングで2人きりになり、 豊は改めてレオを見上げた。 「ほんとうにレオなんだな」 「そうだよ」 ふっと何気なく笑う表情も、かっこいい。 (でも、困った・・・) 豊は悩んでいた。眼の前にいるのは確かにレオだった。 だいぶ大人びたが、幼かった頃の面影は残っている。 そんな男が、さっき自分にキスをしてきた事を思い出す。 そしてレオはどうやら豊が好きらしい。 いや昔からそうだった。 告白された事も、だんだんと思い出してきた。 純粋なレオの気持ちを思うと、 どう返事していいか困ってしまう。 豊は別に男が好きじゃない。でもレオは嫌いじゃない。 ソファに腰掛けたまま、 レオはじっと豊の顔を覗き込みながら、 「急にキスしたの、怒ってる?」 心配そうに見つめてくる。 その吸い込まれそうな瞳に豊はドキッとしながら、 さっと視線をそらす。 「べ、別に怒っては、いない」 「そう?」 レオはゆっくりとソファの上で豊ににじり寄っていく。 「ち、近いって」 「そ?」 レオは豊に触れる事はなく、触れる寸前まで近づき、自分の腕で豊の身体を包み込む。 豊がそむけている顔を前に向けるだけで、キスしてしまいそうなくらい近い。 「もう一回キスしていい?」 「え・・んっ」 思わず振り返った豊の唇に今度は優しく唇を重ねるレオ。 さっきとは違って、今度はゆっくりと感じることができた。 レオの体温も息遣いも胸の高鳴りも・・・ そして不思議と嫌な気持ちにはならなかった。 レオのスマホが鳴る。 豊からゆっくりと離れ、レオは名残惜しそうに彼の顔を見てスマホを確認する。 「エレナから仕事の呼び出しが来たから、行くね」 と、豊のおでこにチュッとキスをして。 「また来るね」 呆然とした豊を残してレオは出ていった。 豊はそのまま脱力して背もたれに倒れ混んだ。 小さい頃の約束なんて、普通忘れるだろ? ましてや8歳も下の子供相手に・・・ でも、 カッコよかった。 イギリス人とのハーフであるレオは昔からどこにいても目立ってた。 小さい頃は可愛すぎて誘拐されそうになったこともあったほどだ。おそらくレオ自身も自分を守る護身術は教わっているだろうが、世間を牽制する意味でもあのマネージャーのような人間を側に置いているのだろう。 あんな顔で迫られたら、誰だってときめく。 実際豊も、あの吸い込まれそうな碧眼で見られたら、動くことができなくなった。 もっとあの瞳を見ていたくなる。 が、しかし。 それとこれとは話が違う。 もう子供じゃないんだ。 年上の大人に憧れる歳じゃない。 どうにか言い聞かせなくては。 その頃、レオは雑誌の撮影に来ていた。 「はい、OK!レオお疲れー」 数時間で撮影が終わり、 レオは控室に移動しぐったりと椅子に腰掛けた。 「お疲れ様レオ。大丈夫?」 タオルとペットボトルの水をレオに渡す。 レオはタオルを頭から被り、脱力する。 「はあー・・・」 あまり聞かないレオの漏らす声に、 エレナは疑問符を浮かべた。 「大丈夫?」 すると、レオはタオルを被ったまま、 「さっきの、豊くん・・・可愛かった」 落ち込んでるのではなく、豊との再会の余韻に浸っていたのだ。 (あの豊くんと、キスしちゃった・・・) 豊の照れた顔をと唇の感触を思い出して、 タオルの中でニヤニヤしていた。 「・・・仕事中はシャキッとしなさい」 エレナは呆れ顔で、帰る支度を始めた。 「はーい」 レオも、控室のシャワー室に入っていく。 服を脱いで、ふと気がついた。 シャワーを浴びずに、そのままシャワー室から出てくる。 「あれ?どうしたの・・・」 エレナは着替えを用意しながら、 そのまま出てきたレオを見て察する。 「まさか」 「ああ」 二人は意味ありげに顔を見合わせる。 シャワー質には小型カメラが取り付けられていた。 盗撮。 「また、あいつか・・・」 「イギリスで私が半殺しにしたのに、まだ懲りないのね」 エレナは怖いことを口走るが、真面目だった。 レオとエレナは事務所に連絡を入れた。 その後、 「というわけで、シャワー貸して」 「・・・何がというわけなのか、分からないが」 レオはエレナと共に再び豊の実家に来ていた。 ちなみにレオの実家は隣だが、 両親はイギリスで仕事をしている為実家は無人。 1人でいるのは危険だと判断して隣の家である豊の実家に来たようだ。 シャワーから出て、 洗面台で髪を乾かしているレオを見つめながら豊は、 「そのストーカーって、どんなやつ?」 すると、レオはドライヤーを切り、 髪を整えながら、 「元々はモデル仲間で、あっちから声掛けてきた」 「ふうん」 「気がついたら、よく見られてるって気がついて」 「うん」 「ある日家に来て、告白されたから、『ごめん』って断って。それから送られてきたプレゼントとか手紙とかに異常なメッセージが・・・」 「・・・それで?」 レオは上半身裸のまま、豊に近づき、 「どうなったと、思う?」 ゆっくりと彼の体を引き寄せる。 豊はドキッとする。2人の顔が近い。 「ど、どうなったんだよ・・・んっ」 話している途中で、脈略もなくキスされる。 食われるように深く、深く。 レオはそっと豊のTシャツの中に手を入れて、 彼の乳首を指で撫でる。 「っあ、やめんか!」 照れもあり、豊は全力でレオを蹴り飛ばす。 その後、レオとエレナを含めて家族で夕食を食べ、 「じゃあ俺帰るわ」 そう言って、玄関に向かう豊に、 「え、帰るってどこに?」 「おれんち」 「豊くんの家ここじゃん!」 聞いてないとばかりに慌てるレオ。 豊は、ああと思い、 「俺、土日は道場の手伝いで来てるけど、普段は一人暮らしだから」 「えええ」 整ったレオの顔が、子供様にぐにゃっと歪む。 それを見て、豊は子供の頃を思い出しぷっと小さく吹き出した。 「やだ!」 そう言ってレオは豊の腕を掴んで、 「帰んないで」 「俺明日普通に仕事だし、スーツ持ってきてねーし」 「朝帰ればいいじゃん」 「めんどくさい」 折れる気配のない豊。 レオは玄関に向かおうとする彼を尻目に、 部屋の隅で膝を抱えてうずくまる。 「レオ?」 「…ストーカー、怖かったな」 悲しげに呟くレオ。 (少し大げさに見えるが) 「…」 豊は完全に折れた。 その夜。 豊はスマホのアラームを5時半にセットする。 朝家に戻って着替える時間を考え、普段より1時間早く起きなくては… かつて自分が使ってた部屋は、時々使用しているため汚れてはいない。 ここで小さい頃よく、レオと眠っていた事を思い出す。 「豊くん」 隣に横たわるレオに声かけられて、 豊はスマホから彼の方に目を向ける。 「ん?」 「わがまま言って、ごめん」 急にしおらしい事を言うレオに、 豊はキョトンとする。 「なんだよ急に」 優しく笑う彼に、レオは彼から目をそらし、 「ガキだな、俺って」 少しだけ反省はしているようだ。 ストーカーなんて、 本当は怖くない。 レオはただ豊と離れたくなかった。 一緒にいたかった。 豊もそれを知りながら、 残ってくれたし、一緒のベッドで寝てくれる。 豊は自覚している。 自分はレオに甘い。 「キス、したい」 まっすぐな目でレオは豊を見つめる。 豊にはわかってる。 これから始まることを。 「早く寝ろよ」 そう言いながら、目をそらさない。 レオはゆっくりと、豊にキスをした。 まるで恋人みたいな甘いキス。 豊は拒否しない。優しく受け入れた。 許されて嬉しくなり、 レオは彼の上に覆いかぶさって、 もう一度、今度はもっと深くキスをした。 「んっ・・・」 レオはそのまま豊の首にキスをしながら、 彼のTシャツの中に手を入れて肌を撫でながら胸の上まで捲り上げる。 きっと乳首を舐められる。指で弄ばれる。 豊はそう理解しつつもそれを止めるかのように、 「あ、明日早いんだから、もう寝ろよ・・・」 声が上ずってしまっている豊に、 レオは、顕になっている豊の乳首をマジマジと見つめ、 「こんなエロい姿の豊くんを前にして、俺が我慢できるとおもう?ずっと触れたくて俺がどれだけ我慢してきたか」 そういってレオは遠慮なく豊の乳首を指で優しく弄ぶ。 「っふあ・・・」 今まで感じたことのない感覚を感じて、力ない声を出す豊。 レオは乳首を舐めながら、 ゆっくりと彼の肌を脇の下から、腰へと撫でていく。 その度に豊は体をビクビクと反応させる。 「あっ、んっ」 乳首を吸われたり舌で先をグリグリされながら、 肌を撫でられてだんだんと下半身が疼いてくる。 その反応を嬉しそうに見ながら、 レオは豊のボクサーショーツをずり下ろし脱がせる。 きれいなピンク色の彼のモノが、硬くなっていくのが見える。 レオはそのまま彼のカレのモノを口に含んでしゃぶる。 「ちょっと待あっ」 自分のモノをしゃぶられて、 今まで自分の口から出たことものない喘ぎ声がもれる。 レオの頭を持って必死で彼を自分のモノから剥がしたいが、 気持ちよくてできない。 「ああっ」 静かにイッてしまい、豊はビクッと大きく反応した。 レオは口の中に出た豊の精子を手の中に出して、 それをネチネチとこねて、 それを豊の後ろに塗りつけながら指を入れていく。 「んあ」 お尻の穴に指を入れられ、豊はじたばたと悶える。 ほぐれてきたらレオは自分の服を脱ぎ捨て 自分のガチガチになっているモノに彼の精子を塗り扱いていく。 それを豊はじっと見つめる。 「挿れるよ」 まるでローマの彫刻のような、 レオの肉体美を前に豊は気がついた。 自分はレオに抱かれる。 レオはそのまま豊に深くキスをした。 豊はゆっくりと彼の首に腕を回して彼を抱き寄せた。 もっと、キスしてほしい。 肌を重ねたい。 「豊くん、好き」 レオの竿がゆっくりと豊の穴に挿入されていく。 信じられない。 圧迫感が下腹部を支配するが、痛くないどころか、 「んっ・・・」 レオはゆっくりと腰を上下に打ち付ける。 「あっん」 豊は気持ちよくて、いつもより高い声で喘いだ。 そんな夜は過ぎて、 翌朝。 豊は服を着て身支度を済ませる。 時間は5時前。 裸でベッドに眠っているレオを見つめながら、 自分でも気が付かなかったが、 昨日気がついた。 ベッドの中でキスした瞬間、 自分が 昔からレオを好きだったことに ようやく、気がついた。 気持ちよく眠っているレオの耳元で、 「レオ、俺もう行くからな」 と、彼の頬にキスしようとして、やめる。 そのまま静かに家を出た。 翌週の土曜日。 さすがにどんな顔してくればいいのかわからなかったから、 豊は無理を言って、三吉に一緒に来てもらった。 「なんで俺が一緒にこなくちゃいけないんですか?」 私服でブーブ言っている三吉に、 「今度お前の好きなレーシング大会につれてってやるっていってんだろ?」 三吉は昔アマチュアレーサーをしていたくらい車が大好きで、 事故で引退したらしい。 「・・・部下を使うのがうまいですよね先輩って」 「まあまあ」 「豊くん!」 道場に入ると、 すぐさまレオが抱きついてきた。 「うぐっ!レオ・・・久しぶり」 力いっぱい抱きしめられて、 うめく豊。 「会いたかった」 と、イケメンのくせに可愛い顔でそう言われるもんだから、 「そ、そっ、そうですか・・・」 先週セックスをした相手に抱きつかれ、 珍しく豊の声は上ずった。 そんな豊の反応にレオはうれしくなり、 「照れてるの?かわいー」 「だれがっ」 無理やり強がる豊。 三吉は何を見せられているんだとおもいながら、 2人のやり取りを半眼で見つめながら、 「先輩とりあえず、中はいりま・・・」 そう言いかけた時、 「レオ、あんまり時間ないわヨ・・・」 レオの後ろから顔をのぞかせた彼のマネージャーのエレナ。 「え?」 「あ!」 三吉とエレナはお互いを指さしながら声を出した。 豊とレオは顔を見合わせる。 家の中に入り、 リビングでお茶を淹れながら、 「じゃあ、三吉の親の再婚相手の子供がエレナさんだったってことか」 どうやら三吉の母親と、エレナの父親が再婚したらしい。 再婚前は三吉自身は一人暮らしをしていたが、再婚する際に皆で一緒に暮らさないかと提案がなされ、最初は大人だからと断ったが、エレナの父親が大勢で暮らす家に憧れをもっていたことで半ば強制的に一緒に暮らすこととなった。 「まあ、そうですね」 三吉はだされたお茶を口に含みながら、答える。 彼とは対象的に、 「まあ、どんなイケメンかとオモッたけど、日本人特有の社畜とはね」 と、三吉を普段から社畜とバカにしているらしい。 エレナのサラリーマンのイメージが固執しているようだ。 「うるさいな」 などとという話を聞きながら、レオはソファに座る豊の隣を陣取り、彼の手をニギニギしている。豊がいるだけで嬉しい。そんな心の声がきこえそうな表情をしている。 やがて豊の家族と、三吉、エレナを含めて夕食を取り、 今日は解散することにした。 先週とは違い、 レオは明日も仕事が入っているらしく、駄々をこねなかった。 「じゃあな」 「うん。今度はもっとゆっくりいてもいい?」 なんて遠慮がちな言葉を口にするレオに、 豊は彼の頭をぽんと撫で、 「いいよ」 「うん」 嬉しそうにはにかんでレオはエレナと帰っていった。 しばらくはお互い忙しくて、 合うことはなかった。 そんなある日の朝、 レオからラインが来た。 《明日豊くんの家に行っていい?》 仕事中であった豊は、 メッセージを見て、 《俺、実家にはいないって》 《来て。明日日曜でしょ?》 レオは折れない。 その一言に、 くすぐったさを覚える。 《じゃあ、昼くらいにいく》 《ありがとう》 彼から来るメッセージを見つめて、 心がホッとする。 昼休みにさっきのレオのラインを見直していると、 「何ニヤついてんですか」 と後ろから声掛けられる。 三吉がコンビニに行って昼食を買ってきたのか、 豊の後ろを通りながら突っ込んでくる。 「だれが」 と、口元を隠す豊。 三吉はニヤニヤしながら、 「例の幼馴染のことですか?」 「べつに」 先日実家でレオと対面はしている。 「お前はどうなんだよ?家族上手くやっているのか?」 と、再婚した親について聞いてみた。 三吉はハアっとため息を付きながら、 「あいかわらずエレナは俺を社畜とバカにしてくるけど、両親は上手くやってるよ」 「そうか、何よりだな」 (いい歳した義兄妹とはいえ、同じ屋根の下に暮らしているんだ・・・) などと、とりあえず上手くやっているようで安心する豊。 ふと、豊のスマホが鳴る。 「もしもし?」 すると、相手はレオのマネージャーのエレナだった。 『もしもし?豊サンのデンワですか?ワタシエレナです』 エレナから電話なんて初めてだった。 「え、エレナさん?どうしたんだよ?」 その言葉に、三吉が豊を見る。 『レオが行方不明になったの』 撮影スタジオから移動する為に先に車に行っていたはずのレオの姿が、どこにもなかったらしい。 「スマホは?」 『つながらないから、てっきり豊と一緒かとオモッて』 『俺、まだ会社だよ』 2人の脳裏にはストーカーの文字が浮かんでくる。 レオが勝手に行動するなんてない。 仕事には真面目に取り組んでいる。 『どうしよう・・』 スマホのむこうから聞こえるエレナの不安そうなつぶやき。 豊は少し考える。 自分は2時間後に会議がある。 レオはおそらくストーカーに連れ去られた可能性がある。 話を聞く限りどこでレオを見ていてもおかしくないのだ。 どうする? どうさがす? 「先輩?」 疑問符を浮かべる三吉に、 「レオが連れ去られた。おそらくストーカーに」 「え」 流石に動きを止める三吉。 豊はスマホに戻り、 「エレナさん、スマホのGPSは?」 『反応しない』 「それ以外のGPSは?ストーカー対策で、他にも持たせてるだろ?」 『あ・・』 エレナは何かをおもいついたようだ。 「三吉次の会議、15時からにしてもらってくれ。多分変更は大丈夫だとおもうから」 「え、はい」 「それが終わったら、一緒に来てくれ」 豊は外出届けをだして、三吉と会社をでていく。 念の為レオに連絡をしてみるが、やはりつながらない。 エレナと合流して、 状況を聞いてみた。 撮影スタジオから車で移動する為に先にレオに待ってもらっていたらしい。 エレナは思い出す。 レオのアンクレットはGPSが付いている。 それをスマホで追っていく。 撮影スタジオで目撃された車は黒いワゴン車。 それを追っていく。 運転は三吉。助手席にエレナ。 後部座席にスマホを手にしながらすれ違う車すべてを詮索する豊。 道の順序からおそらく、ストーカーは空港に向かっているようだ。 イギリスにレオを連れて帰りたいのだろう。 「やつは見つかりにくように、おそらくあまり通行ない経路を選んでいるヨウネ」 後部座席から助手席に座るエレナは、スマホ画面を覗き込み呟く。 「こちらも好都合だ」 と豊はネクタイを緩め、 シャツの腕をまくる。 「え、先輩。何すんですか?」 すると、豊はにっと笑い、 「お前の車『速い』よな?」 「えっ」 豊の質問の意味を察して、 三吉は半眼で、 「先輩まさか・・・」 「頼むぞ」 「いやいや、まず追いつけるか」 「この先だんだんと人通りが減っていく。左に細い道があるからそこから左折してくれ」 豊はカーナビとエレナのスマホを見比べながら、 「そこでやつと同じ道に出るはずだから。それからはお前の腕しだいだな」 三吉は自信満々な豊に、にやっと笑い、 「ほんっと、部下を使うのが上手いことで!」 三吉は妙に納得した。だから会社の車じゃなくて自家用車で来いって言ったんだ。 そもそも三吉の自家用車は他の車より『少しだけ』早く走れる。 そんな話をしていると、目的の道に差し掛かる。 「ここだ!」 「了解!」 三吉は細道にはいるにはありえないスピードでぎゅんと左に曲がり、 猛スピードで細道を抜ける。 「えええ!!ちょっとぉ!?」 エレナには2人が何をかんがえているのかわからず、悲鳴を上げる。 三吉はまるで少年が遊んでいるかのような生き生きした顔を見せながら 車を全力で走らせる。 その長い細道は途中からトンネルのようになっており、 しばらく走ると急に出口の光が差し込む。 ギュンッとトンネルを抜けると、 そこには黒いワゴン車がちょうど通り過ぎる瞬間だった。 後部座席にはレオが乗っていた。 瞬間、豊とレオの視線が合う。 「豊くん!」 レオの言葉を聞いて、 ストーカーはワゴン車のスピードを上げる。 「三吉!」 「おす!」 豊の声掛けを合図に、 三吉はまるでカーレースのように猛スピードを上げる。 ギュウゥウン!! もうお互いの車は、100キロをゆうに超えている。 豊は後部座席の窓を前回にする。 「三吉、あっちの車はそういつまでも続かない。一瞬スピードは落ちる瞬間がくる。俺が合図したら、車横に付けてくれ」 「先輩飛び移るつもりっすか?」 「ええ!無茶ヨ!そんなこと」 エレナは今の猛スピードにも驚いているが、 豊の行動に一番驚いていた。 「無茶じゃねえ、やるんだよ」 もはや、 サラリーマンのセリフではない。 「俺があっちに乗り付けたら、スピード落として、警察呼んでくれ」 そう言って、豊は車の窓から身を乗り出す。 ストーカーのワゴン車の屋根には荷物を固定するベースキャリアが付けられている。 あれに手をかけてしまえば、掴まる事はできそうだ。 黒ワゴン車の運転席にいるレオのストーカーは、 見知らぬ猛スピードを出す車に追いかけれて、 焦っていた。 「なんだ!なんなんだ!?」 そんなに運転は得意じゃない。 日本に来てレオを連れ去って海外に戻る。 そんな単純な作戦だったはずなのに・・・ 「豊くんがきたら、お前も終わりだな」 レオは豊に絶対の信頼を置いていた。 「あいつか・・・」 ストーカーは、ギリッと歯を食いしばり、 追いかけてきている車を睨みつける。 「あいつが、お前の大事なやつか・・・!」 ストーカーもレオの心の中にいる人物には気がついていた。 そもそも自分の思いを邪魔する優男としか認識していなかった。 「ただの日本人に何が出来・・・」 ストーカーがそう言いかけた時、 車の窓から見えるのは、 こちらの車にへばりついているサラリーマンの姿。 「へっ?」 ストーカーはその光景に気の抜けた声を漏らし、 無意識に車のスピードを落とす。 目の前にはそのサラリーマンがこちらの車の運転席の窓ガラスに 膝蹴りをお見舞いしようと身を振り上げて、 「伏せろレオ!」 ガシャアァン!! 「ぐけえああ」 全身に衝撃と、ガラスと、すべてに、ショックでうめき声を上げる。 豊の膝蹴りで窓ガラスは粉砕され、 車は操作を失い側の壁に激突し停車する。 豊は止まった車からまずはストーカーを引っ張り出して、道路に捨てる。 そのまま、自分の服についているガラスを払い、 黒ワゴンの後部座席に向かい、 「大丈夫か?レオ」 全身薄汚れてて、 ガラスで切り傷だらけの豊に問われ、 「もう・・・無茶するなよ」 豊の顔を見て安心したのか、 気の抜けた顔を見せるレオ。 「まあ、昔約束したからな。お前のこと守るって」 「え・・・?」 「お前小さい頃から、すぐ誘拐されたり怖い目にあってたろ」 「え、うん」 レオは小さい頃から可愛くて、 よく変な大人にさらわれそうになったりすることがあった。 その度に、豊は大声を上げて人を呼んだり、レオの手を引っ張って逃げたりした。 「何のために、俺が社会人になってまで武道続けてると思ってんだよ」 「え・・・俺のため?」 「それ以外あるかよ」 はっきりと照れもなく豊は答えた。 ずっと、想ってるのは自分だけだと思ってた。 けしてこの想いは叶わないと。 なのに、 こんなに分かりやすい想いがあるだろうか? 「ほんっと、かっこよすぎ・・・」 「まあな」 と、笑う豊の背後に、 ナイフを持ったストーカーの姿。 「豊!」 レオの声よりも早く、 豊は自分の背後にいた、 男の掲げたナイフを振り向きざま回し蹴りで吹き飛ばす。 あっさりとナイフが自分の手から消えて、 「へ・・・?」 一瞬何が起きたのか、ストーカーにはわからなかった。 相手はただの日本人のサラリーマンだ。 ワイシャツのネクタイをしている、地味で小柄の日本人・・・・ なのに、 「よくも、好き勝手やってくれたなぁ。ストーカーさんよ」 と、凄んでゆっくりとストーカーの方を振り返る。 「ひっ」 豊の凄みに一瞬でしりもちをつく。 「おれは今、ピリついてるから、大人しくしてしてろよ」 ストーカーは腰を抜かしているくせに、 「へっ、ただの日本人のくせに・・・俺は海外の裏社会に知り合いがいるんだっ。俺が本気を出したら大勢でお前なんか・・・・」 すると、奴の目の前にしゃがみ込んで、 「どうするって?」 凄まれて、一瞬で言葉を失う。 「やってみろよ。世界のギャングだろうが裏社会だろうが、相手にしてやるよ」 まっすぐに男を見つめて言い切って、 「だがな」 豊はそのまま男の胸ぐらをつかみ、 「まずは反省しろっ!」 「ぐえっ」 思い切り頬を殴られ、 本気で男は気を失う。 「あーあ、弱えな」 そう言いながらも、 豊は自分のネクタイを外しそれで男の腕を後手に縛り上げる。 「先輩!大丈夫ですか?」 三吉はボロボロの豊に駆け寄る。 「おう」 車の方を見ると。 エレナに説教を受けているレオの姿。 ほんとうに無事でよかった。 遠くから聞こえるパトカーのサイレンを耳にしながら、 「三吉」 「はい」 「会議は来週に延期・・だ・・・」 そういって、 豊はゆっくりと脱力して倒れていった。 「先輩!」 「豊くん!」 その後の記憶は、豊にはない。 三吉の従兄弟が警察にいて、 現場ではこっぴどく叱られたそうだ。 現場はめちゃくちゃだったが、ストーカー被害もあり他に被害者もいないとのことで、 罰金で済んだ。 病院で目覚めた豊も叱られて、会社にも叱られて一ヶ月の減俸となった。 家でも親に叱られた。 身体は全身切り傷だらけで、ヒザ蹴りした足も骨折はしてなかったものの、 一週間ほど入院することととなった。 でも豊は平気だった。 だって、ちゃんとレオを守れた。 それだけで満足だった。 ようやく退院する時、 レオが病院の前に迎えに来ていた。 「豊くん退院おめでとう」 久しぶりに会ったせいで、 レオが少しだけよそよそしかった。 豊はじっとレオを見つめる。 「レオどうした?」 豊に顔を覗き込まれ、 さらに顔をそむけるレオ。 「あんまりこっちみないで」 「なんで?」 「抱きしめたいのを我慢してるから!」 詰め寄られて手さえ握れずにいる。 「ふうん」 と、気のない風で呟く豊は、 「えいっ」 と、好きだらけのレオの胸に抱きついた。 レオはビクッと身体を硬直させる。 「ち、ちょっと?」 「なんだよ」 「我慢してるっていってんでしょ」 「なんで?」 「へ?」 「何で我慢するんだよ?」 その問いかけに、レオは仕事中には絶対見せない、緩みまくった顔で、 「だって・・・」 などとやりとりしていると、 「ちょっと! 早く乗リナサイ!」 と運転席のエレナがイライラして2人に声かける。 こうしてエレナの運転する車は豊を自宅まで送って、 レオはそのまま仕事に行くとのことだった。 「週末泊まりにきてもいい?」 子供のような発言に、 「いいよ」 いつものように返事をした豊。 でも2人の中では明らかに変化があった。 そして金曜日。 入院時に掘っておいてしまった仕事をようやく片付けて、 豊は社内の休憩室に飲み物を買いに来ると、 休憩室の丸テーブルに一人腰掛けてため息を吐く三吉の姿。 「三吉おつかれ」 その声に、 三吉は明らかにうなだれながらこちらを振り返る。 「・・・おつかれっㇲ」 「どうしたんだよ?元気ないな」 言いながら、豊は自販機でいつものカフェオレを購入。 カフェオレの缶ボトルを手に、三吉の向かいに座る。 「こないだの騒動から」 「うん」 「エレナに懐かれてるんです」 「・・・うん?」 きょとんとする豊。 「仲良くなったって事?」 一応両親同士が再婚した義理の兄妹だ。 前より打ち解けたなら良かったと思うが? 「・・・・誘われている」 その一言に、 豊はブハッと口に含んだカフェオレを吹き出した。 「は!?」 心からの疑問符をぶつけるが、 三吉は俯いたまま、 「だからっ、口説かれてるのっ!!一つ屋根の下に住んでる義理の妹に」 と三吉は完全に顔を両手で覆っている。 そこではたっと思い出す豊。 「あれ?でも両親も一緒に住んでるんだよな?止めにこないの?」 「両親はむしろノリノリで・・・・」 「ええ・・・」 変な両親だなと思ったが口にはしなかった。 「あの2人変わってるからな」 自分でいってしまった。 豊は吹き出したカフェオレを拭きながら、 「でも、なんで急にそんな展開に?」 「・・・俺の運転技術に惚れたって・・・・」 「はあ・・・」 納得するような、出来ないような。 まあ、レオの誘拐事件がなれば、 三吉の得意分野はエレナに知られることはなかったが。 思い悩む三吉に、豊はあることを思い出す。 「あれ?でもそういえばお前の女の好みって・・・外国人美女」 「言わないでください!」 エレナは妹として出会ってなれければ、三吉の好みドンピシャだった。 あくまで義理の兄妹として接することを決めていた三吉にとって、 今の状況は非常にまずい展開だった。 苦悩する三吉に、 「もう観念したら?」 「嫌ですよ!・・・あー、帰りたくない・・・」 そうして夜。 「じゃあ、明日の夕方迎えにくるカラネ」 「了解」 豊の一人暮らしのマンションの前にレオを送り届けて、 エレナの運転席からの声に軽く手を振るレオ。 それを見届けながら豊は、 「エレナ、あんまり三吉イジメるなよ」 すると、言わんとしていることが分かったのか、 「健太郎って、困った顔も可愛いヨネ♡」 健太郎は三吉の名前だ。 全然諦めるつもりはないようだ。 「・・・そうか」 豊は成り行きを見守る事にした。 そうしてレオの荷物を持ってやり、部屋に案内する。 マンションの3階の南側の部屋。 レオを連れてくるのは初めてだ。 「まあ、入れよ」 と豊は先に靴を脱いで荷物を持って入っていこうとする。 振り返ると、レオは玄関に黙って立ち尽くしている。 なにか言いたそうに、うずうずしている。 「どうした?」 問いかけると、 「豊くん」 「ん?」 「ぎゅっとしていい?」 遠慮がちに聞くレオに、 「ん」 豊は手にしていた荷物を廊下に置いて、 レオの前に立ち両手を広げる。 それを見てレオは嬉しくなり、ぎゅっと豊を抱きしめた。 思いが溢れそうで苦しい。 「あの時・・・助けにきてくれた時、めちゃくちゃカッコよかった。やっぱり俺のヒーローだった」 「んふふ、久々に本気出した」 「好き」 耳元で綺麗なレオの声を聞きながら、 豊はレオの背中に腕を回す。 「おれも・・・好きだよ」 その言葉に、 「え!」 レオはハッとして豊から離れる。 豊はレオと目が合うと、照れて視線をそらした。 自然と口にできたとおもったが、豊は急にはずかしくなってきて赤くなる。 その照れたしぐさにすぐにでも押し倒したい気持ちになったが、レオはぐっとこらえて、 「やっと、聞けてうれしい」 「うん」 2人はお互いの背中に手を回したまま、 部屋の中へと入っていった。 「ぐうっ」 レオの大きくて硬いモノを挿入されて、 苦しくて枕を掴む手に力が入る。 「お前ッ・・・おっきすぎるっ」 前より大きいような気がして、豊は全身をビクビクさせる。 レオは金髪の髪を書き上げて、 「仕方ないでしょ」 言いながらもっと奥まで挿れていく。 「こんなに素直な反応する豊くんに興奮しないわけないよね」 「ば・・・かっ」 短く呟く豊もまた、腰が少し動いている。 前セックスした時のような、なし崩しじゃない。 お互いの気持ちを確かめ合って、抱き合う。 レオは胸が一杯だった。 「動くよ」 「あっ」 腰を激しく揺り動かされ、その度にあえぐ豊の聞いたことない声に、 レオはさらに興奮していく。 ギチギチに大っきいモノをツッコまれて、いつもより奥を打ち付けられても、 豊は自分の中にレオが入っていると思うだけで、胸が一杯だった。 お互い汗だくで、それがまたやらしく見える。 「豊・・・、ずっと好きだった。小さい頃からずっと」 つながったまま、レオは豊の髪を撫でながら、 何度もキスをして、 「こうして触れられて、うれしい」 いつもより柔らかく笑うレオ。 なのに想いは一杯で、 自然と涙がこぼれた。 幸せそうに微笑むレオの頬を伝う涙を手で拭いながら、 「泣くなよ」 「嬉し泣きだもん」 「ふっ」 笑いながらも、豊も胸が一杯で泣きそうだった。 こんなに愛しい人が、 昔から近くにいて、 同じ気持ちでいてくれるなんて。 それだけで もう、 何もいらない。 「俺が一生守ってやるよ」 「ふふっ、かっこいい」 2人だけの約束だ。 その後、 レオはモデルとして日本と海外をいったり来たりして、 主に海外との契約が多く、1ヶ月に1回くらいは豊の家に泊まった。 豊も仕事と土日の武道教室を続けていた。 子供の教室に加え、大人向けの教室も始めた。 大人向けは防犯用の技などをおこなっている。 時には真剣に武道を教わりたいと懇願してくる人には別に稽古をつけた。 だって、自分自身の腕を落とすわけにはいかないし。 一生守ると約束したんだから。 「月1回しか会えないって、先輩はさみしくないんですか?」 会社の休憩室で三吉はレオたちの近況を聞きながら、単純に疑問におもった。 豊は意外に平気だった。 「まあ、会いたいなーって時もあるけど、あいつの夢も応援したいし」 と、一口コーヒーを飲んでから、 「俺にベタ惚れだから、浮気とかの心配ないし」 「あー、そうっすか」 半眼で残りのコーヒーを口に含んだ三吉。 「ところで、お前は上手くやってんの?」 「え」 「レース、復帰したんだろ?」 三吉はあの事件の後、大学時代に参加していたアマチュアカーレースに参加しているらしい。 一度怪我をして、そのまま就職したため離れていた。 「知り合いのツテで、何度か」 「成績良かったんだろ?」 「まあね」 短く答えながら、じとっと豊を睨む。 「だいたい、先輩のせいっすからね」 「ええ?」 「あの時久々に全力で疾走って・・・、思い出しちゃったじゃないスか」 「何を」 豊に問われて、 「疾走る感覚」 車をまるで風のように疾走らせる感覚。 レース中の感覚を三吉はアノ時思い出した。 「でも、まあ・・・正直感謝してます」 お礼を口にした。 三吉は久しぶりに生きがいを感じていた。 嬉しそうな三吉を見て、 「エレナとは、あれからどうなった?」 「・・・・」 三吉は一瞬動きを止めて、 すぐに平静を取り戻し、 「別に、何も」 「ふうん」 「言っとくけどね、レオが飛び回ってるってことはエレナだってそうなんスからね」 エレナはレオのマネージャーなのだからそうなる。 「まあな」 「ったく」 豊はじっと三吉を見つめて、 「寂しいのか・・・」 「違いますって!」 「あれ?でもお前最近実家出たって言ってたよな?」 思い出しながら疑問する豊に、三吉は慌てて立ち上がり、 コーヒーの缶をゴミ箱に投げ棄てて、 「さて!午後からも頑張りますか」 出口に向かっていく三吉に、 「なあなあ、エレナってどっちの家に帰ってんの?」 自分のコーヒーのカップも捨てながら、 三吉の後を追いかける。 「なあどっち?」 「うるさいなぁ、仕事しますよ」 「エレナのために引っ越したの?なあ」 「ただの自立ですよ。もういいでしょ」 少しだけ気まずそうな三吉を問い詰めながら廊下進み、 午後の仕事に戻った。 その夜、 部屋の明かりが点いている。 「ただいまー」 自分の家なのに帰宅の合図を伝えながら、玄関のドアを開ける。 すると中からレオが走ってくる。 「おかえり豊くん!」 と、豊に抱きつくレオ。 レオと両思いになった後、 豊は少しだけ広い部屋に引っ越した。レオがいつ帰ってきてもいいように。 ただ恥ずかしいので内緒だが。 レオの誕生日に合鍵を渡したらめちゃくちゃ喜んだ。喜びすぎてその日は、朝方まで離してくれなかった。 いつ再会してもレオはいい男で、豊の前ではまるで子供のようだった。 「お前も、おかえり」 と、豊は自分より背の高いレオの頭を撫でる。 レオは豊が撫でるとまるで猫のように、ゴロゴロと甘える。 まだ10歳だったレオが、18歳の豊に告白したあの日から、 全ては始まった。 「レオ」 「ん?」 大きな子猫のようなレオに抱きつかれながら、 豊は昔の事を思い出し、 「あの時、俺に好きだって言ってくれて、ありがとうな」 「え」 きっと、あの時から始まった。 今は一番大事な人になった。 いや、ほんとうはあの時から 特別な存在だったのかもしれない。 「あの頃から、愛をもらってた」 豊の言いたい事が伝わったのか、レオは愛おしそうに豊を抱きしめ、 「違うよ」 レオは一瞬言葉に詰まり、 「俺に愛を教えてくれたのは、豊くんなんだよ」 「え」 「小さい頃からずっと一緒にいてくれた」 隣に引っ越してきたただの子供に、さみしくないようにと、 いつも一緒にいてくれた。 「俺は一生かけて、その愛を返していくから」 レオのその言葉に、豊は胸が一杯で涙がでそうになる。 「ばか」 豊はチュッとレオにキスをして、 「お前は一生貰っとけ」 レオは嬉し涙を流しながら、 力いっぱい豊を抱きしめた。 終わり。

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