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芽吹きのとき1
こうして新たな体制も整ったところで、早速に冰を亡き者にしようとした者たちへの調査と制裁が下されることとなった。
お偉方に雇われた男たちによれば、皇帝の縁談を勧めるに当たって冰が邪魔になることと、もしかしたら皇帝が男色で冰を夜伽 の相手として側に置いているのかも知れないと疑い、間違いを起こす前に冰を遠ざけてしまおうと企んだとのことだった。
それを聞いた焔 は怒り以前に呆れの方が強かったようだ。お偉方たちを呼びつけ、今後このような企みを起こしたとあれば即刻この城内への出入りを禁ずると厳しく告げたのである。現段階で彼らの息の根を断つことも可能であったが、そこは政治だ。彼らとてこの香港ではそれなりの立場もあり、代々ファミリーとの繋がりも持ってきた者たちだ。安易に首を切るだけが得策とはいえないのである。
仮に彼らが再度同じような企みを起こすようであれば、その時こそ本気の制裁を下せばそれでいいのだ。
皇帝の温情にお偉方たちも意気消沈。婚姻によって周一族との縁を持つことは諦めざるを得なかったものの、とにかくは赦されたとあって誰もが心の内では安堵したようだった。
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