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第5話 恋人として初めての…(5)★
(俺だって、ハルのこと気持ちよくしてやりたい)
陽翔が自分に欲情してくれている――そう思うだけで体が疼いて仕方がない。
智也はごくりと唾を飲み込み、思い切って陽翔のものに口づけた。
「っ、待ってよ! そんなことしなくていいからっ」
頭上から慌てふためく声が降ってくる。
が、構わず舌先で裏筋を舐め上げれば、陽翔の口から微かに吐息が漏れ出た。男根を口淫しているだなんて我ながら信じられないけれど、嫌悪感は一切ない。
「ハル、きもちい?」
ドキドキしつつ、気になって問いかけてみる。が、返ってきたのは思わぬ言葉だった。
「え、エグい」
「は?」
「だってやばいよ。智也が俺の舐めてるとか、すぐイッちゃいそうだし――ちょ、直視できない」
「……この童貞野郎。俺でさんざんシコってたんじゃねーのかよ」
「そうだけどっ、本物は破壊力ありすぎだって!」
「さっきまでの調子はどこ行ったんだよ。ったく、人のこと好き放題しやがって」
今度はこちらの番だ、とでも言わんばかりに亀頭をぱくりと咥え込む。
陽翔の陰茎はとても大きく、口の中にすべてを収めることは到底できない。それでも手を使って根本を擦りつつ、顔を上下に動かし始めた。
「んっ、ハルの、マジでデカすぎ……咥えきれねえ」
「……っ」
ぎこちない愛撫にも陽翔は感じてくれているようで、屹立はいっそう硬さを増して血管が浮き上がってくる。
そのことが嬉しくて、智也は夢中で陽翔のものにしゃぶりついた。唾液を絡ませてじゅぷじゅぷと音を立てつつ、拙いながらも唇をすぼめて懸命に吸い付く。
やがて限界が近づいてきたのか、陽翔が余裕のなさそうな声色で声をかけてきた。
「智也、も……出ちゃうから」
「ん……んんっ」
「待って待って、離して……っ」
陽翔が切羽詰まった様子で、強引に頭を引き剥がしてくる。すると、歯が先端に当たってしまった感覚がして、陽翔のものがドクンッと震えた。
「――ッ」
次の瞬間には、熱い飛沫が顔面に降りかかってきていた。
どろっとしたそれは髪や頬にべったりと付着し、独特の匂いを放つ。智也は目を丸くした。
「ぶっかけられた……」
「ごめんんんんんーーっ! だ、大丈夫? 目に入ってない!? うわああっ、ほんとごめん!」
陽翔があたふたしながらティッシュで拭き取る。
こんなにも慌てているのを見るのは珍しいかもしれない。智也は思わず笑みを浮かべてしまう。
「いいよ。気持ちよかった?」
わざと煽るように口にする。陽翔は一瞬呆気に取られたような表情になり、それからすぐに真っ赤になった。
「う、うん」
照れくさそうにしている姿に愛おしさが込み上げてくる。
智也はフッと笑って身を乗り出すと、額と額をくっつけた。
「またシような」
そのまま至近距離で囁けば、陽翔の顔がさらに赤く染まった。
「……智也だって人のこと言えないじゃん。このスケベ」
「男なんてみんなこんなもんだろ。あと、ハルほどじゃねーし」
軽口を叩き合って二人で笑い合う。
こうしているだけで幸せだと感じるのは、きっと相手が陽翔だからだろう――智也は心の底から思ったのだった。
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