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第5話 恋人として初めての…(4)★
「声、我慢しないでよ。可愛いエッチな声……もっと聞かせて?」
そう告げると、ぐちゅっと音を立てて自身を激しく扱いてくる。先ほどよりも強い快感に襲われ、智也は目を見開いた。
「っあ!? 待っ――そ、それ駄目……っ」
「『それ』ってどれ?」
意地の悪い笑みを浮かべながら、陽翔がさらに動きを速めてくる。
敏感な先端を親指でぐりぐりと刺激され、同時に後ろの指も激しく動かされ、もう何がなんだかわからなくなる。
初めてなのに気持ちがよくて――もっとしてほしいとすら思ってしまって。智也は無意識のうちに腰を動かしていた。
「智也、可愛い……腰揺れてる」
「っ! やだ、み、見んなって」
「どうして? 俺の手で感じてくれてるんだ、って思ったら嬉しいんだけど。ほら、もっと気持ちよくなっちゃえ」
「あっ、ン!」
陽翔が嬉々として囁きかけてきた直後、責め立てが射精を促すような容赦のないものになる。
押し寄せてくる射精感に耐える間もなかった。一気に限界まで追い立てられて、智也は呆気なく果ててしまう。
「ああぁ……っ」
白濁が腹部に飛び散り、陽翔の手までも汚していく。
はあはあと荒い呼吸を繰り返すうちにも、陽翔はティッシュを手に取って丁寧に汚れを拭ってくれた。それをふわふわとした心地で眺めつつ、智也は呟く。
「……ハル、挿れんの?」
こちらの言葉に陽翔が息を呑むのがわかった。しかし、そっと首を横に振る。
「やっぱり、もうちょっと我慢する。いきなりじゃ智也が辛いだろうし」
「でも、お前挿れたいって」
「いいから。今日はここまでにしよう?」
陽翔がふっと表情を和らげる。そして、ゆっくりと隣に寝転ぶと、そのまま抱きしめるように腕を回してきた。
「――大丈夫。こうして裸になって、くっついてるだけで幸せだから」
耳元で甘く囁かれて、智也は顔が熱くなるのを感じた。肌を通して伝わってくる体温は温かく、胸の奥がじんわりと満たされていくようだ。
(俺、愛されてんだな……)
陽翔はいつも智也のことを大切にしてくれる。付き合う前もそうだったけれど、恋人同士になってからは彼の想いをより強く感じて、こそばゆい気持ちでいっぱいになる。
「ハル……好き――」
自然と言葉が口をついて出た。恥ずかしさを覚えつつも視線を合わせれば、陽翔は優しく微笑んでくれた。
「ん、俺も好きだよ……智也」
「っ……」
好きだという気持ちがますます膨らんでいく。
どうしようもなく触れたい――そんな衝動に駆られ、智也は体を起こした。陽翔の上に跨って、下腹部に手を伸ばしてみる。
「えっ、智也?」
「俺にも触らせろよ」
「お、俺のはいいって!」
「いや、こんなにしてんのに治まんの待つ気かよ。勃ちっぱなしで痛くねーの?」
「ちょっ、ちょっと!」
戸惑いながら上体を起こす陽翔をよそに、さっさと智也はスウェットパンツを下着ごとずらしてしまう。
陽翔のものは勢いよく飛び出してきて、今にもはち切れそうなくらい張り詰めていた。先端には透明な雫が滲んでおり、先ほどの行為でいかに興奮していたのか伝わってくる。
「すげ、何もしてねーのに」
やんわりと手を添えると、陽翔はビクッと肩を震わせた。
こうして一方的に触れるのは初めてだ。見上げれば、陽翔の顔は赤くなっていて、何故だか妙な高揚感を覚えてしまう。
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