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第5話 恋人として初めての…(3)★
「んっ、な……なんかぞわって」
「そう? こっちは、さっきより大きくなってるみたいだけど」
陽翔が股間を柔らかく撫でた。流れるような動作で下着ごとハーフパンツを下ろされる。
智也のものは確かに勃起していて、動揺と羞恥がこみ上げた。男なのに胸などで反応を見せるなんて――いくらなんでもありえない。
「ははっ、智也ってば顔真っ赤」
「お前が変なことすっからだろ!?」
「『変』って。これからもっとすごいことするのに?」
陽翔の手が腰から太股へと辿っていき、膝をグイッと大きく割ってくる。誰にも見せたことのない秘部を曝け出す形になり、思わず智也の口から声が上がった。
「っあ、バカ!」
慌てて脚を閉じようとするけれど、陽翔の手に阻まれてかなわない。
それどころか、陽翔は甘ったるく内腿に口づけを落としてくる。加えて、猫のように柔らかな髪が際どい箇所をくすぐってくるものだから、体の力が抜け落ちてしまう。
「コラ、そんなことしなくていいっての……っ」
「じゃあ、ここ――もう触るけどいい?」
双丘の奥に隠された窄まりを、トンと軽く突かれる。陽翔の目は本気だった。
「好きにしろよ」
観念して呟けば、陽翔は静かに頷いた。ベッド脇のサイドボードへと手を伸ばし、引き出しからローションのボトルと、コンドームと思しき箱を取り出す。
(こ、こいつ……ヤる気満々じゃねーか!)
そんな生々しいものを用意していたとは露知らず、軽くショックを受けている間にも、陽翔はコンドームのパッケージを破った。ゴムを中指に装着すると、そこにローションを垂らし、改めてこちらに向き直る。初めてのはずなのに随分と手際がいい。
「お前、ネットで調べたりしたの?」智也は気になって問いかけた。
「それがなに? そんなの普通でしょ」
何でもないことのように言うと、陽翔は後孔に指を押し当ててくる。縁に沿ってくるりと円を描いたあと、つぷっと先端が侵入してきた。
「ぅ、あっ」
「きっつ、指一本でギチギチだ。……これ痛い?」
「い、痛くはねーけど、気持ち悪ィ」
「……ごめん。慣れるまでちょっと我慢してくれる?」
異物感に眉根を寄せていたら、なだめるようなキスが降ってきて、すべてうやむやにされてしまう。
指は意外にもあっさりと奥まで入りきり、陽翔は慎重に抜き挿しを始めた。
「ん、くっ……」
初めは違和感しかなかったものの、何度も抽挿を繰り返されるうちにだんだんと慣れて、次第にゾクゾクとした感覚が生まれてくる。
その正体がわからず戸惑っていたところ、指の動きを増やされて智也は息を詰めた。中でグッと曲げたり、内壁を押し上げたり――と、ある一点を掠めたとき、
「あぁ……っ」
智也の体がビクンッと大きく跳ね上がる。甲高い声を上げてしまい、ハッと口元を手で覆うけれどもう遅い。
「今のって」
「ち、違っ……違ぇーから!」
「前立腺、ってこれなのかな」
「っ、んん!」
再び同じ場所を刺激されて、智也はまたもや体をビクつかせてしまう。
一度反応を見せると、陽翔は執拗にそこばかりを責め立てた。いつの間にか二本に増えていた指で何度も擦られ、初めての感覚に翻弄されていく。
「ここ、コリコリってされるの気持ちいい? 智也のとろっとろになってる」
言って、陽翔は智也のものに手を伸ばしてきた。
先走りが溢れて止まらずにいるそこを、やんわりと握りこまれる。そのまま上下に扱かれてしまえば、もう堪ったものではない。
声を出すまいと唇を噛み締めていたら、陽翔にクスッと笑われた。
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