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第5話 恋人として初めての…(2)★
(俺がハルに抱かれる、って)
つい項垂れてしまう。陽翔のことを抱きたいとは特段思わないけれど、これはこれで懸念があるというものだ。
「あの、智也? ……嫌だったらやめるよ? こんなの気持ちがないと意味ないし――俺、君のことはちゃんと大切にしたいから」
こちらの様子をどう受け取ったのか、一転して、陽翔が気づかうように声をかけてくる。智也はすぐさま否定した。
「バッ、嫌とは言ってねーだろ!? ぶっちゃけどっちでもいいっつーか。でも、俺が女役でハルは満足できるのかなって……な、萎えねえ?」
言いながら不安になってきて、声が尻つぼみになる。
陽翔は一瞬ぽかんとしてから、クスッと笑みをこぼした。
「萎えるわけないでしょ。俺、智也のこと大好きなんだよ?」
「けどよ、想像してたより微妙とかだったらっ」
と、そこで言葉が途切れてしまう。
陽翔が一瞬だけキスしてきたかと思えば、突然ベッドに押し倒してきたのだ。それから耳元に口を寄せ、囁くように言ってくる。
「大丈夫だから――智也の全部、見せて?」
その言葉に、智也の体がぞくりと震えた。
覆い被さりながらこちらを見つめてくる陽翔は、熱っぽい表情をしており、瞳には隠しきれない情欲が見え隠れしている。
まるで知らない男のようだ。少し怖くて、でもそれ以上に期待している自分がいることに気づく。
「っ、ん……」
普段と違う表情にドキドキとしていたら、陽翔の顔が近づいてきて、ゆっくりと唇を重ねられた。
触れるだけのキスを何度か繰り返し、そのうちに陽翔はTシャツの中に手を滑り込ませてくる。素肌をなぞるように撫でられ、智也はピクリと体を揺らした。
「ちょ、手つきがやらしい……っ」
「やらしいことしてるんだから当然でしょ。今日は上も脱いじゃおうか」
「わ、ぷっ!?」
抵抗する間もなくTシャツを脱がされ、また同じように陽翔自身も服を脱ぐ。
均整のとれた引き締まった体躯――裸なんて見慣れているけれど、こうしてまじまじと見る機会はなかったし、今は不思議と胸がドキドキとしてしまう。
(やばい、なんだこれ……俺は女子かっ)
うっかり見惚れていたら、陽翔が胸元に手を伸ばしてきたので、すかさず智也は待ったをかけた。
「待て待てっ! 乳首も触んのかよ!?」
「そりゃあ、ずっと触りたかったし」
小さな尖りを指先できゅっと摘ままれ、押し潰すようにこねられる。そこは芯を持ってツンと尖ってきたけれど、さすがに快感を得るようにはできていない。
ただ、異性のように扱われているのが妙に恥ずかしく、智也の顔にじわじわと朱がさしていく。それに気づいたのか、陽翔がイタズラっぽく笑みを浮かべた。
「智也のおっぱい、舐めていい?」
そう問いかけつつも、返事を待たずに陽翔の舌先が触れてくる。
「……っ、ん」
ぬめった生温かい感覚に、ビクッと智也の肩が跳ね上がった。
ねっとりと先端を舐めまわされたかと思えば、ちゅうっと音を立てて吸い付かれてしまう。刺激を与えられていくうちになんだか変な気分になってきて、智也は居ても立ってもいられなくなった。
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