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第8話 もう守られてばかりじゃない(4)★
「ハッ、さすがは学園の王子様。言うことが違げェわ」
「ま、またそんなこと言って。俺、その『王子様』っていうのわりと嫌なんだけど」
「どうしてだよ。俺は好きだぜ? お前に合ってるし――何より自慢したくなるしな」
椅子を回転させ、智也の体がこちらに向く。真っ直ぐに見据えてくる瞳には熱がこもっていた。
「まあどっちかっつーと、独り占めしたいけど」
照れくさそうに呟いて、智也が首に腕を回してくる。
陽翔は誘われるがままに顔を近付けていき、柔らかく唇を重ねた。
触れ合った箇所から伝わってくる体温に、心が満たされていくのを感じる。もっと深く繋がりたいと舌を差し出せば、智也も応えて舌同士が絡み合った。
「っ、う」
「あ、ごめんっ……痛い?」
智也の顔がわずかに歪む。殴られたときに口の中を切っていたらしく、舌先に血の味を感じた。
すぐにキスを中断させるも、智也はグイッと引き寄せてきて、
「いい。気持ちいいから――もっとキスしてえ」
「……それ反則」
恍惚とした表情で囁かれ、陽翔は角度を変えて何度もその唇を貪った。
静かな室内に二人の吐息だけが響き渡る。夢中になっているうちに、いつしか互いの体を抱き寄せていた。
「智也、エッチな顔になってる」
「っせェな、お前だって」
からかうように言えば、智也は上目遣いで睨んでくる。しかし、頬を赤らめて潤んだ瞳で見上げられても、煽られているとしか思えなかった。
再び深くキスを交わしつつ、智也を押し倒す形でベッドに寝かせる。
そのままもつれ合っていたのだが、気づけば智也が上に覆い被さっていた。こちらの襟元を緩めたかと思うと、力を込めて首筋の薄い皮膚を吸いあげてくる。痺れるような鈍痛が走って、鬱血の痕を残されたのだと知った。
「学園の王子様がこんなんつけてたら、ぜってー噂になんだろうな」
まるで自分の所有物だと誇示しているかのようだ。智也は満足げな笑みを浮かべる。
「ええ? 智也だけズルいよ。ねえ、俺もキスマークつけさせて?」
「なんで許可制なんだよ。好きにすりゃいいだろ」
「じゃあ、このままお尻向けてくれる?」
「はあ!?」
突拍子もない要求に智也がぎょっとする。構わず、陽翔は言葉を加えた。
「キスマークついてる智也とか誰にも見せたくないし、俺にしか見えないところにつけたいなあって――駄目かな?」
「っ、独占欲オバケかよ……」
「ねーえ、お願い」
「………………」
「……さっき食べた肉まん、美味しかったね?」
「わーったよ! ケツ向けりゃいーんだろ!?」
どうやら観念してくれたらしい。渋々といった感じではあるが、ベルトに手をかけてズボンを脱ぎだす。
「あ、パンツも脱いで?」
「注文が多いなチクショウ!」
悪態をつくも、智也は言われたとおりに下着も下ろしてくれた。四つん這いになり、腰を突き出してくる。
「なあ、これハズいんだけど」
「大丈夫、俺しか見てないから」
「そういう問題じゃねェ……って、ちょ!」
「智也の恥ずかしいところ、丸見えだね?」
すぐさま陽翔は脚をより大きく開かせ、秘部がよく見える体勢を取らせた。そうして位置を調整しつつ、無防備な内腿に顔を寄せていく。
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