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【二十八】交わり(★)

 その後も、夜になる度に、俺とロイは同じ寝台に入ったのだけれど、ロイは指で俺を解すだけだった。不安になって、俺は尋ねた。 「ロイは辛くないのか?」 「ジークに無理をさせたくないんだ」 「っ、その……もしかして、俺じゃ、勃たないか……?」  俺が小声で問うと、ロイが吹き出した。そして俺の頭を撫でると、首を振る。 「すぐにでもジークと繋がりたいのを、俺は我慢しているんだ。煽るようなことを言わないでくれ。自制するのに必死なんだ」 「っ……自制なんて、しなくていい。俺、俺、ロイが好きだから、その……」 「俺もジークを愛している。だからこそ、大切にさせてくれ」  そう言って、その夜も、ロイは指で俺を愛した。  そんな日々が続き、俺は本日は、涙ぐんでいる。もうずっと、全身を舌で舐められていて、決定的な刺激がなく、中にも触れられないものだから、体がじっとりと汗ばみ震え始めた。全身が熱を孕んでいて、解放したくて張りつめた前が切ない。 「んぅ」  太ももの付け根から膝の裏までを舐められて、俺はついに涙を零した。 「ああ、あ……あっ、ロイ、ロイ。早く、中……んッぅ」  俺が哀願すると、香油の瓶を手に取ったロイが、相変わらず端正すぎる顔で俺をまじまじと見た。俺はその瞳に獰猛な色が宿っている事に、この時初めて気が付いた。ゾクリとした時、求めていた指が、俺の中に挿ってきたから、すぐにその事は意識から消えた。  本日のロイは、俺の中を解しているけれど、いつもならば俺の感じる場所を刺激してくれるのに、そこには触れずに、意地悪く指を動かしている。俺は何度も首を振った。 「ロイ、ロイ……あ、あ」  既に十分に解されている俺の内壁は、刺激を欲して収縮している。陰茎の先端からは、タラタラと液が零れている。俺は涙で滲む瞳を、ロイに向けた。 「ロイ、あ、ロイ……イきたい……っ、ぁ……」 「――そろそろいいか」 「あ、あ? あああ!」  その時、指を引き抜かれて、陰茎の先端を後孔へとあてがわれた。 「ジーク、暴いてもいいか?」 「っ、ぁ……う、うん」  俺が同意すると、ロイが肉茎の先端を俺の中に挿入した。一気に雁首までが挿ってきた。指とは全く違う質量と、蕩けそうになってしまう熱に、俺は体を震わせる。硬いロイの剛直は。それからゆっくりと俺を貫いた。そして進んできたと思ったら、今度は腰を引かれる。するとひきつるような感覚がして、切ない快楽が、俺の全身に響きはじめた。 「あ、あ、っン」  緩慢に抽挿するロイは、ぐっと奥深くまで陰茎を進めては、ギリギリまで引き抜き、そしてさらに奥深くを暴いている。俺は指では感じた事のない最奥までをも暴かれて、呼吸をするのに必死になった。深いところを抉られた時、ロイが今度は腰を激しく揺らし始めた。すると全身に快楽が響き始めて、俺は訳が分からなくなった。 「や、ぁ、気持ちい、い、あ、あ、ああああ!」  思わず俺が声を上げると、ロイが再び抽挿を再開した。先ほどまでとは異なり、今度は何度も激しく俺に打ち付けた。俺は舌を出して、泣きながら息をする。頭が真っ白に染まり、もう俺の体も心もグズグズだ。 「ジーク」 「あ、あ……」 「中に出しても構わないか?」 「ん、ぁ……ンぁ……」 「今日は三日月の夜ではないが、絶対に妊娠しないとは断言できない。嫌ならば、避妊する」 「ロイ、あ、あああ! いい、いいから。俺は、ロイとの愛の証なら、子供が出来ても構わない」 「――そうか」 「あああああ!」  俺の返事を聞くと、ロイがより激しく動き始めた。俺の内側からも快楽がせり上がってくる。 「あ、あう、うああああ!」  グリっと肉茎で最奥を貫かれた瞬間、俺は射精していないのに、絶頂感に襲われた。全身を漣のように快楽が駆け巡る。ギュッと目を閉じて耐えようとしたけれど、それが出来ない。もう、呼吸もできない。俺は、震える事しか出来ない。 「ああ――!!」  とどめのように、絶頂に達している状態で、最奥を再び貫かれ、俺はビクンと体を跳ねさせた。その時、中に飛び散る熱い白液の感触を、俺は初めて教えられた。ロイは、長い間、俺の中に放っていた。俺の腹部が熱くなる。俺が涙を零していると、射精を終えたロイが、陰茎を引き抜いた。結合していた箇所から、ダラダラと精液が零れていくのが分かる。俺がぐったりと寝台に沈むと、ロイが横になり、俺を抱き寄せた。 「好きだ、ジーク」 「ん……俺も、ロイと一つになれて、すごく嬉しい」 「本当に可愛いことばかり言うんだな。そこも、好きだ」 「ロイ、キスしてくれ」 「ああ、いくらでも」  ロイが俺の唇に、触れるだけのキスをした。その後俺は、ロイに腕枕をされたまま、眠ってしまったようだった。  ――その日を境に、ロイは俺を眠らせてくれなくなった。俺の体はトロトロにされて、もう気持ちいいことしかわからなくなってしまった。もう、三日三晩は繋がっている。俺の体はもうダメだ。気絶するように意識を失ったと思っても、目が覚めるとまだ繋がっていたりする。  今日なんかは、ロイが動いてくれない。ずっとスローな交わりが続いていて、俺はポロポロと涙を零している。ひっきりなしに俺の陰茎からは、もう透明になってしまった精液が零れている。ロイが、指で俺の涙を拭う。今日は後ろから俺を抱きかかえ、ちっとも動いてくれないままだ。 「っ、ぁ……ァ……」  俺はもう、喘ぐことしかできない。ロイの事しか考えられない。  ドロドロに融けてしまった体は、なのにまだまだ熱くて、ロイの陰茎をしめつけては、さらなる快楽を貪欲に求める。 「んぅ!」  ロイが左右の乳首を、指で弾いた。俺の両方の乳首は、赤く尖っている。  もう胸への快楽も、じっくりと教え込まれてしまった。ロイは後ろから俺の首元に口づけ、ぺろぺろと肌を舐めている。 「ああああ!」  その時、唐突にロイが動き始めた。すぐに俺は、理性を飛ばした。  次に目を覚ますと、俺の体は清められていた。泥のように全身が重くて、指を動かすのも大変だ。俺は喉が渇いていたから、虚ろな瞳で水を探した。すると隣に寝転んでいたロイが気付いて、柔和な笑みを浮かべた。ロイは、絶倫だと俺は思う。 「ほら」  ロイが俺の口元に、水の入ったグラスを近づけてくれた。俺は必死で水を飲む。  俺は水を飲み終えてから、改めてロイを見る。  好きでたまらない。そう考えてから、俺は再び微睡んだ。

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