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第43話 密会 ―END―

 深夜に近い時間でも、煌々(こうこう)と明かりをともした派手な外観の娼館へ入り、レウニールは1階の酒場で一杯だけ酒を飲みながら、自分の後をつけて来た者はいないかを、確認し終わると裏口へ向かう。  裏口の扉から、薄暗い迷路のような路地裏へ出て、奥へ奥へと進み、1件の古い民家に入る。  しっかりと玄関の扉に鍵をかけて、奥の寝室へ行くと… アユダルがベッドに入り気持ち良さそうにスヤスヤと眠っていて、レウニールはたまらず唇にチュッ… とキスを落とした。  キスで目覚めたアユダルは、瞳を閉じたまま微笑み… 「お疲れ様… ケガは無いですか?」 「疲れているけど、ケガは無い」 「良かった!」  ふわりと目を開け手をのばし、レウニールの首にまわして、グイッ… と引き寄せ、アユダルからもキスを返す。  治療の腕があがったアユダルは、治療室を1人で任され、… 昼当番と夜当番を、1週間おきにプロプエスタと交代しながら働くようになると、時間に余裕ができた。   アユダルが昼当番になると… レウニールはふらりと夜にやって来て、寝室で密会を楽しむようになった。  再会した夜に2人で話し合い… 我慢しながら離れて暮らすのは、お互いの精神状態に悪い影響が出ると、レウニールが不定期で、アユダルの家に訪れることにしたのだ。  つまり今の2人は、夫婦でも愛人でもないが、客と男娼という関係でもなく… 普通の恋人同士となった。  “(つがい)(ちぎり)り” はまだ、結んではいないが… 王太子アニマシオンが国王に即位したら、番になろうと2人で決めていた。  ー END ー ここまで読んで下さり、ありがとうございます(・´з`・) このお話のアユダルは、他のお話でチラリと登場したモブさんですが、設定が気に入りラブ全開の過去話を書いてみました。残念ながら本編のお話は、魔王が復活し魔獣と戦ったりと、ほぼファンタジー長編なので、fujossy様向きのお話ではないなぁ? …と投稿は断念しました。そちらはアルファポリス様で見られますので、興味がおありでしたら覗いてみてください。 追記…『王太子の秘密儀式』の投稿を始めました。こちらでチラリと出たレウニールが忠誠を誓ったあの人のお話となります。  またどこかでお会い出来れば幸いです☆彡

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