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プロローグ(2)

 ――いや、違う。もう大半はコイツに奪われてしまった。  オレの両親という大切な存在を……。  だけど、これ以上コイツに奪われるなんて許さない。 「さあ、邪魔者は居なくなった。素直にお前を寄越せ」  神楽はオレの上に跨って空から降り積もる白と同じ色の衣へと手を伸ばす。  父さんと母さんを殺されても立ち向かう力のないオレは、両足を怪我してしまって逃げることもできない。  ただ神楽に覆い被さられる。 「ああ、やはりお前は美しい。この透き通る肌はまさに、王として生まれるべく俺に与えられたものだ」  神楽は感嘆の声を上げると、オレの首筋に唇をくっつけた。  ――いやだ。気持ち悪い。  こんなヤツに……父さんと母さんを殺めた奴に奪われてしまうなんて!!  オレは必死に抵抗を試みた。神楽から逃げようと力を入れる。  だけどやっぱり両足が鋭い痛みを訴える。  オレの精一杯の抵抗は神楽には効果がなかった。 「ダメだって言ってるだろう?」 「……っつ!! はなせっ!!」  神楽に触れられた箇所が冷たくなっていくのがわかる。 「いやだ!!」  オレは精一杯、拒絶を口にする。  だけど、神楽はそれさえも楽しんでいるようだった。 「ああ、すばらしいよ古都。君の肌は桃色の梅の花のように美しい」 「はなせっ!!」  神楽は力なく拒絶し続けるオレの両腕を片手でねじ伏せ、頭上に縛りあげると、襟足を開けた。胸の飾りに唇を寄せた。 「っひ、いやっ!」  神楽がオレの飾りを噛む。  チクンとした痛みがそこから広がった。  こんな奴に……オレのすべてを奪われたくなんてない。こんな……。

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