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第2話・癒えない傷。(1)

 チュンチュン。  鳥の鳴き声がする。  そっと目を開けると、飛び込んでくるのは明るい真っ白なお日さまの光。  それから、真ん前にいるのは知らない人間の顔。  誰!?  目の前には知らない奴の顔が『でんっ』とあった。  閉じた瞼にくっついている睫毛は長くて、鼻筋が通っている端正な顔立ちをしたソイツ。  あれ?  だけど、この顔どっかで見たことある。  身体を起こせば、さわり心地のいいふんわりした足場があった。  ツキリと後ろ足が痛むけど、その足場のおかげで痛みのない前足に体重をかけることができるから、負担がかからない。  傷を意識したら、フラッシュバックが起こる。  目の前で起こった惨劇を思い出してしまうんだ。  幼馴染みだった神楽(かぐら)に裏切られ、父さんと母さんを殺されたことを……。  そしてさらに思い出したのは、目の前にいるこの人間――(ゆき)』が神楽に傷つけられたオレを介抱してくれてるってこと。  ちらりと視線を後ろに向ける。  幸の手首が見えた。  その手首には包帯が巻かれている。  オレが噛みついたところだ。  …………………。  ……って、オレは悪いなんて思わないからなっ!!  幸をぜんぶ信じたわけじゃないし、だいたい人間なんて裏切るだけだって父さん言ってたしっ!!  自分で言うのもなんだけど、オレってけっこう毛並みがいい。  傷が治ったら誰かに売られる可能性だってある。  まあ、傷が治るまではココに居てやってもいいけどな。  行くあてなんかないし、敵がわんさかいる外より、一匹の敵を相手にする方がずっといいしっ!!  オレは規則正しい寝息を立てている幸の顔を横目でちらりと確認すると、包帯が巻いてある腕を跨いで幸という囲いから出た。

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