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第5話・恋ってなに?(4)

「いい加減にしてください!!」  幸は巻きつく腕を振り払おうとしているけど、嫌がってるようには全然見えない。  そんな幸に、自分の身体の中で柔らかな部分を押しつけていた。 「あの、わたし貴方のことが好きなんです。……ほら、貴方の側に居るだけで、こんなに胸がドキドキしている……」  後ろから唾をのむ音が聞こえて振り返ると、受付係の加奈子が両手を口元を塞いでいた。普段大きい目が、いつもよりずっと大きくなって、細い身体が震えている。とてもショックな出来事を見るような、そんな感じだった。 「ね? すごくドキドキしてるでしょう?」  オレと加奈子もいるのに、幸の手を離さない。それどころか幸の手を強く握っている。 「いい加減に!!」  幸が何かを言おうとしていたけれど、もうオレは大人しく見ていられなかった。幸と人間の間に割り込んだ。 「ギギギギィィ!!」  オレが幸の膝の上に乗ると、人間の手を引き剥がすことに成功した。 「ちょっと何? こいつ!!」  牙を剥き出しにして毛を逆立てて威嚇するオレに怯えた人間は後退りした。 「古都……」  いくら命の恩人の幸だって、今だけは名前も呼ばれたくない。  オレは幸の顔を見ることなく、人間に牙を向けて人間に威嚇し続ける。  人間は、「ひぃっ」と声を上げ、足元にいた子犬を抱えて走って逃げた。 「古都……?」  後ろから声が聞こえる。  ――なんか触られるのイヤだ。  手を差し伸べてくるような気配があったから幸の手を避けるようにして膝から降りる。  オレはすぐにその場を去った。  向かう先は三階のベッド。

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