1 / 2

第1話

タバコの香りが漂う、怪しい器具がたくさん置かれたSM部屋。どうやら今回のお方は、相当マニアックな人らしい。まぁ、この仕事をしていればたいていそういう人ばかりなんだが。 「初めまして、小萩 代(こはぎ しろ)と申します。本日はご指名いただきありがとうございます。お客様の名前は何とお呼びいたしましょうか」 いわゆる偽名というやつだ。昼間は、東流 怜(とうりゅう れい)という名の普通の高校生、夜は小萩 代という名の売春を行う男。裏には、社会の闇に精通している人がいて、その人から紹介を受けている。紹介されるのは金持ちばかりで、たくさんの金を貰うことができる。ただその分、普通の性行為だけに収まらない。 「それじゃあ旦那様と呼ぶんだ。さて、何をして遊ぼうか。君は何をして遊びたい? 鞭もあるし、今ある煙草を押し付けたっていい、それとも気を失う寸前まで何度も水に沈められてみるかい?」 あぁ、気持ち悪いなぁ。趣味の悪い、でも別になんだっていい。残念ながらその手の言葉に怯えるほどの、初々しさはどっかに行ってしまったようだ。気が狂いそうになることに変わりはないけれど。 「旦那様のご自由に」 「まったくもって動転しないな、つまらん。まずは君の余裕を崩そう、懇願するまでたっぷりと遊んでやる。こっちに来るんだ」 広い浴槽へと案内される。浴槽にはピンク色の液体が入っていた。入浴剤の類ではないことは確かだろう、大方媚薬というやつか。 「特別に配合されたものでね、普通には売っていないものだよ、よく効くんじゃないかな。さぁ入りたまえ」 客はこちらを振り向き、にっこりとほほ笑んだ。もちろん、拒否権などない。服を脱いで、ゆっくりと媚薬風呂に浸かる。生温い温度なのは救いだろうか、酷い時は氷水のように冷たいものに沈められることもあるから。媚薬と言っても、物によって効き目はまちまちだ。これはどうだろうか。 少しの間体に変化はなかったが、体がじわじわと熱くなっていき、あちこちむずむずとし始める。 「おや、効き始めたみたいだね、息が荒くなっているよ」 客はニタニタ笑いながら、首筋を指でなぞった。それだけで、下へ熱がたまる速度が増す。思わず手が伸びかけたらサッと掴まれてしまった。 「まさか、勝手に触ろうとしたのかい? いつ触っていいと許可を出した。とりあえず罰を与えようか」 待っていたといわんばかりの表情で、手首を紐でくくられる。そのあと、思いっきり髪を掴まれ勢いよく媚薬風呂に沈められる。 「んんっ!?……つぅ……ぶはっ……まっ!」 息ができなくなって限界になると引き上げられる、一瞬空気が入ったのちに、また沈められる。まともな息継ぎなんてできるはずもなく、次々媚薬が口に入っては飲み込むことになる。気が遠くなる感覚と、いじりたくて気が狂いそうになる感覚がずっと襲ってきて、おかしくなりそうになる。 「……はぁ……はぁ……」 意識をなくす直前に浴槽から引きあげられた。結ばれた手が自然と下にのびていくが、結ばれた手では触ることが叶わない。 「学習しない子だね。まぁ媚薬付けはもういいさ、十分すぎるほどみたいだからね。君が泣きながら懇願するのが楽しみだよ」 「ひゃあ!?、んんっ……くぁ、……やめっ、ぁぅ……ぅう……」 耳に息を吹きかけられただけで、飛び上がりそうなほどの快楽が頭に流れ込む、そのあとは、性感の周りをなぞる様にそっと筆が往復していく。普段ならくすぐったいだけの刺激も、まるで羽で優しく敏感な部分を撫でられているかのように、じれったい気持ちを募らせていく。逝きたい、すぐに懇願したいと頭の中がぐちゃぐちゃするのを必死に押しとどめる。 この客は、すぐに懇願する少年が見たいわけではない。苦しそうに悶えて悶えて、どうしようもなく壊れそうになる瞬間というのを見たいのだ。 ずっとこの仕事をして、相手の表情から相手の要求がなんとなくわかるようになっていた。気に入られたら報酬は良くなるし、長く指名してもらえるようになる。お金は欲しいし、何より客を逃せない理由がある。 「こちらの様子を窺うくらいの余裕があるみたいだね、まだまだじっくり遊べそうだ。これだけアソコをパンパンにしているのにどれくらいもつかな?」 「ああぁっ!?」 一瞬だけ筆が熱のたまったアソコに触れた、その瞬間、電気がはしったような感覚に襲われる。ほんの少しだけ触られただけで終わったアソコは、より一層熱さを増した。 あぁ、商売なんてどうでもいい、今すぐ触って、今すぐ熱を……。 理性がはじけ飛び、懇願を口にしようとした瞬間口づけで口をふさがれた。そのまま舌が入ってくれば、少しでも快楽を得ようと、必死に絡めてしまう。それでも到底逝くような刺激なんて得ることはできず、懇願することさえ許されずおかしくなりそうな時間が続くことに、視界が潤んでいく。 「はぁはぁ……、おねが…もぅいか、ひゃあぁぁっ」 口が離れた瞬間に再度懇願を口にしようとするが、その瞬間に乳首にカリッと爪がたてられ思わず声をあげる。 「きちんと懇願できるまでいかせないよ」 にっこりとした笑顔が悪魔のように見えた。筆から手を離すと、決してアソコには刺激を与えず、ゆっくりと乳首をこねくり回す。筆よりも強い刺激、それでもいけないようなもどかしい触り方に、早さ。 「あぁぁ……んんっ、いやぁぁ、いかっ……んあぁぁ!?、ひゃぅぅ……」 限界なんてどうに迎えていて、何度も懇願を口にしかけるが、その瞬間にだけ爪を立てられ言葉にすることが叶わない。 「おっと、楽しくて遊びすぎてしまったな。契約は3時間だったか。もう、2時間か。さて代君はどうしたい?」 「お願いしますっ、逝かせてください……旦那様……」 ようやく懇願することが許されると、その場に膝まづくようになりながら懇願する。すると布を目に着けられ視界が防がれた。そのあと何かが、アソコを覆い振動し始める。 「あぁつっ!? まっ、つよ、す……ひゃぁぁ、らめぇぇ!! いっちゃああぁ……もぅいったぁぁ、とめてぇぇ」 急に与えられた刺激に、脳がはぜるような感覚に襲われ体がビクンと痙攣する。それでも振動は止まらず、昂った感覚が落ちてくることなく激しい快楽を伴い、体が痙攣し続ける。 「魚みたいに跳ねて大変そうだな、さて、そろそろ私も逝かせてもらおうか」 追加で、後ろの穴に熱いものが入ってくると、まるで腰をたたきつけるかのように激しく前後させられ奥を思いっきりと突かれる。 「あ゛あ゛あ゛あ゛こわれるうぅう、おかしくなっ、もぅだめぇぇぇ!!!」 注がれた瞬間に一瞬意識が遠のきかける、そのままゆっくりと引き抜かれる感覚に意識が戻り、目隠しとオナホもとられた。刺激はなくなるが、体はビクビクとしたままいうことを聞かない。でも、帰りが遅くなりすぎるわけにはいかない、警察に声をかけられるといろいろ厄介なことになってしまう。壁に手をつきながら、プルプルした足でどうにか立つ。 「ま……、また、いつでも…ご指名、ください。旦那様……」

ともだちにシェアしよう!