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第33話
休憩室で落ちつきを取り戻した藤堂は目の前で資料を眺めている古賀の顔をチラチラと見ては先程のことを思い出す。
(古賀さんが俺のことを好き…。本当に?)
夢なのではないかと思い自分の頬を抓る。もちろん痛かった。
(痛い。夢じゃない……現実なんだ)
そんな百面相を見ていた古賀が頬杖を付きながら藤堂に話しかける。
「…夢でもなんでもないから変な顔するのやめろ。気が散る」
「す、すみません」
「お前とのバディの件だが解消は取り消しておく。だが俺の管轄で事件への関与は決めるから1人で勝手に無茶なことしようとするなよ」
解消取消と言う言葉を聞いた藤堂は目を丸くさせて古賀を見つめる。
「俺、現場に行ってもいいんですか…」
「バディだからな」
こんなにも嬉しい事が立て続けに起こっていいのか、もしかしたら明日空から槍が降って来るのだろうかと考える藤堂とそんなことを考えてるんだろうなと見通してしまう古賀。
すると休憩室の扉が開き赤羽が顔を覗かせた。
「お前らまだいたのか…」
赤羽は2人の横を通り過ぎると冷蔵庫から自身の飲み物を取り出すと仕事に戻っていく。
藤堂の横を通り過ぎた時に喫煙室から戻ったばかりなのか古賀とは違った煙草の香りがした。
「早めに帰れよ。あと職場でいちゃつくのは禁止な、家でやれ」
彼から部屋を出る間際に振り返りそう言われ、藤堂だけがわかりやすく動揺する。
それを見て鼻で笑うと赤羽は靴を鳴らしながら署内の廊下を歩いて行ってしまう。
「隠し事が出来なさすぎるのはお前の長所でもあり短所だな」
「ゔっ…」
「俺達の前では構わないが、他では気をつけろよ」
そう言って藤堂の頭を乱暴に撫でると古賀は席を立ちグッと伸びをする。
「明日から忙しくなるから今日のところは帰るぞ。遅いし送ってく」
資料を手に持ち帰る支度をすると先に扉を開けて古賀が藤堂が来るのを待ってくれる。
(古賀さんが俺が来るのを待ってくれてる…)
それがなんだかくすぐったくて藤堂は古賀に礼を言うと1人でにやけるのであった。
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