40 / 47

40.

「苦しいことさえも気持ちいいと思ってしまう葵の、変態的で、底知れない貪欲さに、愛おしく感じられる」 「はぁ······っ、はっ······」 「けど、僕が挿入()れる前に、勝手に射精()してしまったいけない子の望みを叶えることはできないな」 今度こそ聞こえた兄の言葉に、だが、耳を疑った。 「え······、な、んで······」 「なんでもない。とにかく、ポリネシアンセックスは失敗に終わってしまったのは事実で、これから悪い子の葵はお仕置きを受けてもらうから」 半ば理解ができずにいる葵人から離れていった。 どうして、兄はあのようなことを言ったのか。 碧人のことを受け入れる前に、達した。 頭の中で言っていたことを反芻した時、遠のきかけた意識をはっきりとさせ、急いで上半身を起こし、自身のを見やった。 先端部からだらしなく垂れた白い液に、役目を果たしたと言わんばかりに萎れた自身があった。 血の気が引いていく。 先程の兄のを口に入れた時に、知らぬ間に達してしまったようだ。 どうしよう。 自分はなんてことをしてしまったのか。 「ほら、そんなにも射精()したいのなら、自分の手で慰めて」 「······ごめん······なさい。······勝手に射精()して、ごめんなさい······」 「謝っている場合じゃないよ」 心地よい声とは打って変わって、肌がひりつくほどの鋭い声に身を竦ませた。 すぐに兄の言うことをしない葵人に、「早く」と急かし、己を叱咤し、縮んでいる自身を震える手で包んだ。 垂らしたままの白い液を潤滑剤代わりに、くびれに沿って緩慢に動かした。 「······っ、······ふ······ん······」 兄からの視線から逃れようと、目を閉じ、興奮材料となる淫らな妄想に集中しようとした。 が、恐怖の方が勝ってしまい、なかなか集中できずにいた。

ともだちにシェアしよう!