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第1話
『残念ですが、藍崎様にはこれ以上の妊娠は望めません──。』
Ωの緒兎 が不妊治療を始めて5年目の夏。
医師から唐突に終わりを告げられた帰り道は、夕陽に赤々と染まっていた。
心臓をぎゅっと鷲掴みされるような強い赤。
目が眩んで、悲しいと思うよりも先に涙が溢れていた。
「……こんな……」
こんなことなら、あの時、産んでいればよかった──。
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