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第6話
──二年後──。
「れんー! どうしよう、希望が泣き止まないよぅ!」
「うーむ、どれ貸してみろ、俺がやる!」
ヒョイと緒兎から受け取り赤ん坊をあやす蓮の手つきは、口ほどにもなく下手くそだ。
希望の泣き声は益々大きくなり、蓮の額に冷や汗が浮かぶ。
「こ……子育てってのは、想像以上に大変だな……」
「う、うん……」
あれから専門の施設を訪れた二人は、生まれてすぐ親に捨てられ名前もないままの赤ん坊を引き取ることになった。元気いっぱいの男の子は、希望と名付けた。
「うーむ……。ハッ! さては希望め、これから連れてかれる予防接種を察知しているな!?」
「ええ!? まっさかぁ、まだ一歳なのに?」
「わからんぞ? 希望は緒兎に似て勘がいいからな。きっと注射が怖いんだ」
蓮がまじまじと顔を覗き込むと、希望はまた火がついたように泣き声を上げた。
「わぁぁあ希望ぅー! 頼むから機嫌直してぇー!」
「ほぉーら怖くない、怖くないでちゅよぉー!?」
「びえ〜〜〜〜ん!!」
予防接種の受付リミットは、刻一刻と迫っていく──。
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