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第5話

「……っ、ごめんっ、ごめんね蓮! ごめん……」  「どうして緒兎が謝るんだ。何度も何度も治療で体を傷つけて、痛い思いも嫌な思いも、たくさんしたのは緒兎なのに。 こんなに、ボロボロになるまで俺の子を産もうとしてくれて、ありがとう。だけどもう、充分だから」 「蓮、でも」 「正直言って、俺は少しホッとしたよ。これ以上、緒兎が苦しむところを見ないで済むんだと思ったら」 「れ、……」 「そりゃ、子供は欲しかった。けど俺にとってもっと大切なのは、緒兎が笑ってることだから。二人で幸せになろう。これからは、俺がもっとたくさん緒兎を笑わせるから」 「蓮」 「だから笑ってくれよ、緒兎。希望も──きっと、そう願ってるから」 「……うん」 まだぎこちない笑みしかできない緒兎の頬の膨らみに、幾筋もの涙が伝い落ちていった。 そっと重ね合った唇の熱が、凍えた心を溶かしていく──。

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