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ドライブ
俺は、親父が最近買ったばかりの、この辺りでは流行りの、メタリックで深みのあるヨーロピアンな赤色の車を、取り立ての免許で海岸沿いに走らせる。
「スピードの出しすぎじゃないか? 警察につかまるぞ?」
柳人が、助手席から、メーターをのぞきこむ。俺が、かっこうをつけて、初心者マークをつけていないことにも、真面目な柳人は文句を言った。
「初心者マークなんてつけてたら逆にあおられて危ないって」
などと俺はうそぶいた。
「ネズミ捕りのいる個所は把握してるから大丈夫」
つかまるやつなんて、トロいやつに決まってる。いつだって、なんだって、俺は上手いことやってのけている。全ては、調査ずみ。
「悪いけど、要領の悪い柳人と違って、俺は、つまらない失敗なんかしないよ」
「いい気になってるな」
柳人は、からかわれても怒りはしない。目を細めて、嬉しそうに笑うだけだ。そして、俺のことを、自分のことのように心配する。
いや、助手席に乗せられてるんだから、俺よりも、自分のことを心配してるのか。
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