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第1話
「んんん!んんんんんん!んんんんんんんんんん!」
〔ふざけんなっいったい誰だよ!いい加減何とか言えよ!〕
「……。」
かれこれ30分はこの状態だ。どんな状態かって?ベットに手足を固定されて動けない上に目隠しと口にガムテープ。最初は目が覚めたら何も見えないし声も出せない身体も動かせないって意味分からないし、めちゃくちゃ怖かった…だけど!いい加減なんかあるだろ!!
「んん!…んん!」
〔おい!…おい!〕
「……。」
あーもう!何も言わないけど人の気配はあるんだけどコレってオレ監禁されてるってこと?おいおい、まじでやばいじゃん!どうしよう…とりあえず、、コイツがどんなやつなのかも分かんないし黙っとくか…
沈黙が続く中、奴が動いた気配がした。
トントントントン……、、、ガチャ、…バタン
何だ?奴が出て行ったのか?何の気配もしなくなった。今がチャンスだよな?暴れてみたけど、、やっぱり無理だ…
大学二年生、夏休みに入ったばかりで今日はバイトが休みだった為、昨日飲み過ぎたのが今の状況になった原因だ…記憶をなくすほど酔っていた、、
しばらくして奴が戻ってきた。
【ご飯を食べましょう】
……とことん自分が何者かは教える気がねぇーてことだな、、そこまでするのかよ。自分で打った文字を音声で読み上げるアレだ。男か女かも分からない。
【口のテープを取ります。声は出さないでください。約束できますか?】
早く剥がせと言わんばかりに上下に頭を振る。
ベリっとテープを剥がされた。
「ッ誰なんだよお前!こんなこ…」
オレが喋り出すもんだから、コイツは慌てて手で口を押さえてきた。
「んーんんん」
【声を出さない約束です】
「……」
小さく頷いたら口から手を離してくれた。
【ご飯を食べましょう。口を開けてください】
「……」
寝た状態でご飯食べろってか!!
【口を開けてください】
「…ちょっと喋っていい?」
【どうぞ】
「いやさ、寝た状態でご飯食べづらい…」
【……】
「……」
【今から一度手の拘束を外します。目隠しを取ったり暴れたりしないでください】
どうするか考えてるんだろうなと思ったら、、やっぱそうなるよな…座らされて後ろに拘束された。
【これで食べられますか】
「あんたが食べさせてくれんの?」
【はい、口を開けてください】
無言で口を開けて食べる。上手いのがムカつく。食事を与えるってことは殺す気はないのか?それとも、まだ時期じゃない?交渉してみるか、、
「ちょっと喋っていい?」
【どうぞ】
「大きな声は出さねーから口塞ぐのやめてくんない?何か息苦しいんだよ」
【絶対に大声は出しませんか?】
「あぁ、約束するよ。オレ嘘つくの嫌いだから嘘は言わない」
【分りました】
「てか、オレトイレ行きたいんだけど」
【手の拘束は取りますが足と目隠しはそのままで。もし逃げたら何としてでも殺します】
「…分かったよ。とりあえず早くトイレ行かせて」
【分りました】
手の拘束を取って目隠しをしたまま奴に誘導されてトイレへ行った。絶対逃げるならこのタイミングなんだよ!それは分かってるんだけどロープを通した太い結紮バンドがギチギチで取れない…時間がかかると怪しまれるから一旦諦めた。トイレに入ったら目隠しを取って出てくる時に再度目隠しをする。トイレに入って分かったのは、ここはオレの家だと言うこと。ってことは少なくとも奴はオレを知っていて何かの目的があるんじゃないかと…んー分からん。あ、もしかして最近ドアノブにジュースとか何か掛かってたのってこいつの仕業か?
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