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第2話
再びベットに拘束されるが、最初感じた恐怖心はない。
「あのさー、、オレあんたに悪いことでもした?それなら謝るからこんなことやめにしない?今なら警察とか誰にも言わないからさ」
【数日間このままでいさせてください。あなたの側に居させてください。暴れたり逃げたりしなければ酷いことはしません】
「だから、そうする理由を知りたいんだけど」
何の感情もなく、淡々と話す音声にイライラする。
「なーもしかしてドアノブにいろいろ掛けてくれてたのってあんた?」
【そうです。毎日忙しそうにされてたので】
「あー確かにバイトで忙しかったけど、で、差し入れって感じ?」
【そんな感じです】
「てか、それはもうストーカーだよね?」
【そんなつもりは】
「ストーカーのみなさん多分みんなそう言うのよ。良かれと思ってやったって。だけど、考えてみてよ知らない人に貰ったものとか飲めると思う?飲めるわけないよね?逆にどこかで誰かが自分を見てるって相当怖いと思うよ。オレはあんたのこと何も知らないし、、信じてほしかったら男か女かぐらい教えてよ」
【男です】
「あっそ、じゃあその音声はもういらないでしょ?それ、さっきからイライラするんだよね。それとも、声聞いたら誰かバレちゃうってこと?」
「……分からないと思う」
急に音声ではなく地声で話し出した男にびっくりした。
「おぉ、急にびっくりした」
「すみません…」
「確かに声だけじゃピンと来ないな、てかさ、いつまでこの状態なの?」
「あ、あの、その…ぼっ僕のものにしたくて」
「はぁ?何を?もしかしてオレ?」
「そそそうっ…です」
「あんたのものって、どうなったらあんたのものなんだよ?」
「そそそれ、それは、キスとか、そっその先も…」
「あー肉体的に繋がることね」
「はい…」
「無理だよね」
「……」
「オレね、好きな人としかしないし…あーそうか、ははは。そんなこと言ったって主導権はあんたにあるよな?じゃあ、オレのこと犯すってことね。はは笑えるー」
「…お、犯す、とかじゃなくて…」
「じゃあ何?オレがあんたを好きになるまでこの状態にするってこと?オレ無理なんだけど」
「それは…」
「てかさ、こんなことする奴のこと好きになる人いるの?」
「……」
「あんたさー、オレの名前とかも知ってる?」
「高木潤さん…」
「あーやっぱ知ってるんだ。オレはあんたのこと何も知らないけど。そんな奴とセックスなんてできるわけないじゃん。だから犯していいよ、そのかわりヤった後はあんたのこと憎むだろうけどね。まぁでも、どこの誰だか分からないしヤるなら今だよ。昨日飲み過ぎて玄関前で寝こけてたからチャンスだと思ったんでしょ」
「でも、憎まれるのは嫌だから…」
「言っとくけど、この状態であんたのこと好きになるとか100パーないからね」
「……」
「じゃあとりあえず自分のことは知られたくないんでしょ?じゃあ目隠し以外は外してよ。逃げなければ殺さないんだよね」
「いや、でも、それは、、、」
「オレのこと信用できない?そもそも、どうやってあんたのものにするつもりだったの?」
「少しずつ触れていけたらなって…」
「気持ち悪い…無理だ。さっさと犯して自由にしてくれ」
「あ、いや、とりあえず手と足の拘束は取ります!」
「じゃあ早くして」
あんなに怖かったのにこの状況に慣れて、しかも相手も弱そう…何かビクビクするのもバカらしくなって来た。
手足の拘束が外されて身体が自由になった。
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