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第2話 珍しく。

 大学に進学して二十歳になってお酒も飲めるようになった。  学部が違うと授業も離れるし、颯の顔を見ることも少ない。颯と絡むことも少なくなって、たまに学食とかで、人に囲まれてる颯を見て、相変わらずだなとか思ってた。……まあオレも、おんなじ感じで人に囲まれてたけど。  テリトリーが別れると、張り合うこともない。  顔を見ても何も言わず、すれ違うことも多くなっていった。  なんとなく、オレ達ってこんな感じで、関わらなくなっていくんだなと思っていた頃。  何でか、オレはずっとぼんやりと、体調が悪かった。  なんだかふらつく。なんだか火照る。息が上がる。気持ち悪い。  しばらくそうだったんだけれど、その日は、特にひどかった。  昼食の後、教室に移動中、ふらついて、ベンチに腰かけた。  少し休んでから行くと、周りに言って、一人しばらく深呼吸して、息を落ちつかせる。  ……認めたくなくて、疲れてるせいかなとか思いこもうとしていたけど、やっぱりこれはもう、何か病気なのかもしれない。  明日土曜日だから、病院に行こ。今日はもう、帰るか……。  なんかほんと、ヤバい……。タクシー呼ぶか……。  そう思いながら、何とか立ち上がって、歩き始めたところで、こっちに向かってくる颯と会った。  珍しく、颯も一人だった。 「慧? 何ふらふらしてンだよ?」  珍しく心配気に話しかけてきた颯。  こんな風な声で話しかけられるのは、初めてかも。  オレ、颯がそんな風に心配するほど、そんなに具合悪そうなのかな?  自分のことが、ものすごく心配になった。

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