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第3話 変性ってオレが?

 珍しく心配してくれてるけど。  でも、そうは言っても、颯に介抱されるのは、ちょっと……いや、かなり気にくわない。 「大したことない、大丈夫だから」  そう言ってすれ違おうとした。  なのに。  すれ違いざま、颯と目があった瞬間。  びりっと全身が粟立つみたいな感覚に襲われた。 「え……ぅわ……っ」 「慧?」  がく、と足が崩れそうになったところを、颯に支えられた。颯の腕の中に、納まっちゃった感じ。ナニコレ、と意味が分からなくて、咄嗟に見上げたら、至近距離で、颯と目があった。 「……っ!」  どくん、と心臓が跳ねあがって、そのまま、鼓動が、どっどっと音を立て続けている。  体温が、一気に上がった。熱っぽくて、息が、上がる。  めまいがして、さらに足から力が抜けて倒れ込みそうになったオレを、颯が再度、抱きとめた。  なん、だ、これ。  感じたことのない、高ぶり。  血が、沸騰してるみたいな感覚。どくどくうるさい。  鼓動が早すぎて、息が上がって――――……。  ぎゅう、と目をつぶったところで、颯が、オレを抱き上げた。 「医務室――――……」  そんな声が聞こえた。  お姫様だっこみたいなの、マジ、やめて。  そう思うけど。  苦しすぎて、抵抗もできない。なんかおかしい。熱い。 「……はやて……」  ぎゅ、と颯の服を握り締めた時。  多分医務室に向かってくれようとしていた颯が、足を止めた。 「――――……慧」 「……っ?」  オレを見つめる、颯の顔が、何だか、変。  ――――……辛そう?  ……何。颯も、ぐあい悪いの? 「……変性って知ってるよな」 「っ……αからΩ、とか?」  息が熱い。堪えながら、何とか、言葉を発した。  何、その質問。  こんな時に何言って――――……。  見上げて颯と目が合って、思い当たったのは、とんでもない話。  ……え。  オレが?   今? オレがそうってこと? 「……すごい、確率低いって……」 「ああ、知ってる。だけど、お前は、きっとそうだと思う。……感じないか?」  吸い込まれそうな、颯の瞳をただ、見つめる。

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