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第27話 昔のオレ達

 病院の人達は、一通りの説明が終わると、このままお話しするのに使ってください、と言って、部屋を出て行った。  部屋が家族だけになると、少し、気が抜けた感じがする。  「それにしても……慧ってば……もう、今、Ωなの? びっくりよ……」  母さんが言いながら、オレの二の腕に触れながら見上げてくる。 「うん、そうなんだよね。ごめんね、なんか……」 「びっくりした……」 「うん。だよね」  苦笑いのオレに、でも、と母さんは微笑む。 「でも、変な病気じゃなくて良かった……」  あ、そっちか。  そうか、すごい心配させちゃったんだな。 「ごめん、心配させて。あと、Ωとか、もう番になっちゃったとか……なんかごめん」 「別に謝られることじゃないし。……颯くんが、こんな風に言ってくれてるなら、もう大丈夫な気がするし」 「え?」  母さんの中の颯って、そんな感じなの? そんな知ってたっけ……? クラス一緒とかはなったことないんだけどな。  不思議に思って、首をかしげると、母さんは、ふふと笑った。 「中学の時なんて、颯が颯がって、颯くんの話ばっかりしてたし」 「えっ」 「ちょっと好きなのかなって思ってた。でもαって聞いてたから」  うふふ、と母さんが笑う。  ぼぼぼ、と赤くなるオレを、颯がじーと見つめてくる。 「へ、へんなこと言わないでよ、あれは、ただ張り合ってて」  と、自分をフォローしようとしてたら、今度は兄貴。   「オレも、颯って名前は覚えてる。颯に勝ちたいってしょっちゅう言ってたよな。その颯くんなのか。なるほど……」  兄貴まで余計なこと思い出して追い打ちをかけてくる。 「へえ……」  ……颯が面白そうに、オレを見つめてくる。絶対後でからかわれるー!  と思っていると。 「あら、颯だって、慧が慧がって言ってたわよね。だから私、学校に行った時、慧くんてどの子って颯に聞いたの、覚えてるわ」 「私も。慧って名前、めちゃくちゃ聞いたけど。颯が執着するのなんてほんと珍しいから、すごく覚えてる」  颯のお母さんとお姉さんが言い出した。  オレは赤いままで。というか余計赤くなる。  颯は赤くはならないけど、なんかちょっと眉を寄せて、あらぬ方を……。  あれあれあれ? 照れてる?? ……可愛いとこあったりする??   ……きゅん、としてしまう。

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