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第28話 無事終了!

 照れ合ってるオレ達を放置して、母同士の会話が始まる。 「もうこれから、親戚ですね。颯は冷めて見えますけど、さっきの感じだと、本当に慧くんが好きみたいなので……色々うまくいくといいですね」 「そうですね、これまでよりもっと、仲良くしてくださいね。颯くん、さっき話してくれたこと、とても素敵。慧、幸せですね」 「いえいえ、こちらこそ。中学の時から、慧くん、かっこよくて可愛い子って思ってました」  母さん達は、何やら妙な感じで、盛り上がり始めた。  お互い、素敵な息子が一人増えた、とか言って喜んでる。  父さん達は、これからのことで、何やら楽しそうに話してるし。  なんとなく弾かれて、オレと颯と兄貴とお姉さんが丸くなって向かい合った。 「実はオレさ」  兄貴が言いながら、オレの頭をなでる。 「慧はαぽくないと思ってたんだよな。言ってたろ、お前ほんとにα?って」 「……言ってた」  確かに何度も言われてました。 「のどかだし、欲みたいの無いし、Ωの匂いとかもなんかいまいち分かってないみたいだし」  ……欲って? ああ、欲って、性欲かな。お姉さん居るし、ぼやかしたのか……。  んー、まあ、確かに兄貴みたいにとっかえひっかえは無いなと思ってたけど。 「なんか変性して、すごく納得」 「納得っていうのも変だけど」  なんかもう、兄貴……。  クスクス笑ってしまう。 「あ、見ていいか、うなじ」 「ぁ、うん」  オレが後ろを向いて、服を少し下げて、髪の毛を寄せると。兄貴と、颯のお姉さんが覗き込む。 「綺麗に噛んだな?」 「え。そうですか?」  兄貴が颯に言って、颯がちょっと戸惑いつつも、なんか嬉しそう。 「まあこれから、よろしく。颯くん」 「颯でいいです」 「じゃあ颯で。オレは、(たける)ね」 「尊さんですね、よろしくお願いします」 「よろしく」  ふ、と笑った兄貴は、オレに視線を戻して、ニヤリと笑う。 「うちのことはオレに任せて、慧は仲良くやれよ?」  クスクス笑って、兄貴が言う。 「うん」  頷いたところに、今度は、颯のお姉さんがオレにむけて微笑んだ。 「名前は聞いてたけど、会えて嬉しいな。よろしくね、慧くん。(まい)です」 「よろしくおねがいします」  雰囲気、颯に似てる。すごく、綺麗で頭良さそう。  長いサラサラの髪に見惚れながら挨拶を返すと、ふわ、と微笑む。 「おめでとう。番になれてよかったね」  颯とオレを見ながら、そう言った舞さんと、「そうだな、おめでとうだよな」と言う兄貴。うん、と頷いて、颯と顔を見合わせて、ふふ、と笑んだ。  なんだか緊張した初顔合わせは、「運命の番」というのがαにとって絶対だったということに、とても助けられたとは思うけど。  颯がすごくうまく話してくれたっていうのもあったと思う。  オレの家族に、あんまり嘆かれることもなかったのは、Ωとしての将来を心配する間もなく、Ωになると同時に、めちゃくちゃ有望そうなα一族の颯に嫁ぐことが決まってたから、な気がする。  ――――とにかく、無事に終わって、心底、ほっとした。

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