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第46話 赤面

「颯ってもともと女の子とばっか付き合ってたじゃんか。男のΩと付き合ってたとかいう話も聞かないんだけど」 「あ、うん。そうみたい。言ってた」  昴のセリフに、オレが頷くと、三人とも、んー、とちょっと真顔。  あああ。心配させてるー!  だよね、男のΩともつきあってない颯が、男で、αから変わったオレとって、心配するよね。  分かる、オレもそっちの立場だったら、大丈夫?って思う……。  でもそこんとこは……。  颯が、男と付き合うならお前が良かったって言ってくれてて。だから、男と付き合ってなかった理由はそれ……みたいなんだけど。  そんなこと言ってくれちゃってる颯が、オレ的にはめちゃくちゃ嬉しいので、今まで女の子ばかりだったっていうのも、オレ的には全然、平気なのだけど……。  えっこれ、言わなきゃダメ? 言わないと、皆の心配が消えないかな。  いやでもなんか、恥ずかしい!  ……いや待て。むしろ、これ、言っていいのか?   颯がこんなこと言ってたって、人に、オレが勝手に話していいのかな? わーどうしよう、やっぱり聞いてからだよな。 「慧が百面相してるのは、面白いんだけどさ。とりあえず食べよっか」  クックッと誠が笑いながら言って、「いただきまーす」と食事を始める。つられて皆も、食べ始める。 「いただきます」  そう言って、食べながら。  オレ今、百面相してました……?  つか、そういえば昔から全部顔に出てるって言われてるような。  ……いや、顔に出てるっていうか、全部言葉になってる気がするので、全然それも気にしてこなかったけど。  なんか颯とのことって、恥ずかしすぎて、言葉にできないことが山盛りある。  ……え、皆、恋の話って、普通―にしてたけど。  あれ、よく考えたら、すげーな。  好きな奴の話すんのって、恥ずかしくない?  ……そういえばオレ、今までしたことないな。  申し込まれてデート誘われて、どこ遊びに行った~何した~位しか。  まあ、あれ、「恋」なんて呼べなかったか。  ていうかオレ、今、颯に恋してるってこと??  うわ。超はずい。  思った瞬間、また顔が熱い。 「……慧、何考えてる?」  向かい合わせで座ってる昴が呆れた顔でオレを見てる。 「いや。なんか……」 「何々? 顔赤いしー。やらしいこと考えてた?」 「ぜっ全然やらしいことなんか考えてねーし!!」 「うわ、超焦ってる。何々、面白いから言ってみ?」  めちゃくちゃ楽しそうな顔で、誠が笑う。  ていうか、赤面すんの、誰かどーにかして。

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