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第51話 好きって。

   昴とは。  ずっと一緒に居た。  オレが颯とバトルしてる間ずっと。中高六年間、ほぼ同じクラスだったし。部活も軟式テニス部で一緒。で、大学も学部一緒だから、一緒。  颯はサッカー部だったから、テニス部のコートからも見えてて、オレはガキんちょだったから、そこからも、なんかちょっかい出してて。  その横にずっと居たのが、昴。  ……そりゃ納得いかないよねと思う。 「あのさあ、誠」 「ん?」 「お前、オレがαん時、好きだった?」 「んん? まあ。好きだったけど」 「オレがΩになったら? 好き、変わる?」 「……変わんねえけど?」 「昴も絶対一緒だから、変なこと言うなよな?」 「……ま、分かった」  頷いた誠に、ん、と笑って、二階の教室に上がる階段を上り始める。 「つかさ、オレをそういう風に見る奴、居ないと思うし」 「そう?」  誠は上っていた階段をぽん、と最後勢いをつけて上に立って、オレを振り返った。 「慧は、αん時から、なんか可愛かったけど?」 「げ」  とっさに漏れた一言に、誠は、可笑しそうに笑い出した。 「なんか、颯に負けるかー!って、頑張ってるとこ、面白くて、なんか可愛くて、よかったよね……ああ、そうか、颯は、そういうのが気に入ってたのかな?」  クスクス笑いながら、ドアを開けて、教室に入る。 「自分に必死で向かってくる奴、なんか可愛く見えるのも分かるね」 「分かる?…… ていうか、あの頃の颯が、オレを可愛く見てた雰囲気は、全くないけど」 「ははっ。でも、言ってたじゃん、αでも慧が良かったって」 「言ってたけど……」  席に二人で座って、ペンとノートを出して、まだ先生が来ないので、ちょっと机に肘をついて、誠を見つめた。 「……誠って、好きな子に、好きって言えるの?」 「当たり前じゃん。ていうか、女の子皆好きだけど」 「後ろから刺されないでね?」  言うと誠は苦笑いして、それから、ああ、と微笑む。 「颯に好きって言ってないの?」 「え、すご、何で分かるの??」 「……分かんない奴居たら変って位、誰でもわかる……」  誠も肘をついた状態で、オレを見つめてニヤニヤしながら、そう言う誠に、そう? と首を傾げてしまう。 「……オレ、まだ何もちゃんと言えてない。なんか、颯が言ってくれてる時、自分の中でずっと返事してるのに、口から出ないんだよね……」 「あらら。……意地張っちゃってる感じ?」 「意地?」 「負けたくないって頑張ってきたわけじゃん、ずっとさ。好きって言ったら、負けーみたいな?」 「……颯は、言ってくれてるから。負け、とか思ってはないんだけどなぁ」  んー……。ちょっと困るんだよな。誠みたいに、ほいほい言えたらいいのに。 「……ていうかさ。慧は、颯を好きなの?」 「……っ」  ぼっ。一気に熱い。 「――――……」  オレの顔をマジマジと見つめていた誠は、ははっ、と笑った。 「なんか、慧は言えてなくても大丈夫な気がする」 「え……え? そう?」 「うん。大丈夫きっと」 「……? でもちゃんと答えた方が、いいよね?」 「大丈夫、絶対」  何だかすごく自信をもって、そんな風に言われてしまい、大丈夫なのかな、とまた首を傾げたところで、教授が入ってきた。  ◇ ◇ ◇ ◇ ごめんなさい、51話を飛ばして52話に入れちゃって更新したので、 直しました💦

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